【管理会計】経営者が知っておくべき会社の3つの数字

この記事のポイント

試算表や決算書を熟読しているだろうか?

数字に強い中小企業経営者は、管理会計を活用して「限界利益」「創造付加価値」「内部留保」の3つを必ずチェックしている。この大切な3つの数字の見方を詳しく解説しよう。

会計は「健康診断書」。生死に関わる数字が潜んでいる

経営者がまず自覚しなければならないのは「会社は生き物」であるということだ。あなたの会社も元気に生きているはずだ。

  • 資金が底を尽きかけてピンチになれば「輸血」が必要になる=瀕死の重傷状態
  • 何らかの事情で眠ることもある=休眠会社
  • 死ぬこともある。病死、事故死=倒産
  • 自ら安楽死を選択することもある=清算

「資金」は「血液」の如きだ。だから「会計」は「血流」のデータということができる。唯一、生身の生物と違うところは「血液=資金」は、いくらあっても多ければ多いほうがいい、ということだろうか(笑)。

そういう意味で、試算表や決算書は「健康診断書」であり、そこには「生死に関わる数字」が潜んでいる。お金がザクザク沸いて出てくる「泉」を持ってる人以外は、試算表や決算書で健康状態を知っておく必要があるのは言うまでもない。

*ちなみに「泉」は存在する。私は本当にお金が絶え間なくわいているのを見た
ことがあるが、また、機会があれば紹介しよう(笑)。

預金残高は気になるくせに、自己資本は気にならない矛盾

あなたは「会社の数字」が気になっているだろうか?試算表や決算書を見て「売上高」と「純利益」と「税金」だけ見ておしまい、ということはないだろうか?

あなたの会社の直近の「自己資本」はいくら?って質問して正しく答えられる経営者は少数派だ。でも・・・あなたの預金残高はいくら?って質問すると、意外と正確に知っている。私は、このやり取りにいつも違和感を感じる。自分個人の預金残高は気にして知っているくせに、なぜ、会社の「自己資本」は気にならないのだろう?と。

預金を1億円持っていても、会社が1億円の債務超過ならチャラだ。代表保障していれば、私財を投げ打って返済しなければならないのに、、だ。

経営者なら「自己資本」の他にも気にしておくべき会社の数字がある。

経営者必修、毎月チェックすべき3つの数字

限界利益

「限界利益」は「売上総利益」と言われている数字に「近い数字」だ。その違いを整理しておこう。

売上総利益=売上高ー売上原価

一般的な「試案表」や「決算書」、つまり財務会計の損益計算書に記載されている「売上総利益」。仕入や外注費以外の売上原価がなければ、限界利益と売上総利益は一致するが、多くの場合、この売上原価以外にも「配送費」や「販売手数料」などの「原価」がが発生している場合が多い。

限界利益=売上高ー変動原価

いわゆる「管理会計」の損益計算書に記載されている限界利益は、売上高から変動原価を差し引いて計算した利益だ。変動原価は「売上に連動して変動する原価」であり、仕入れ原価や外注費以外にも、上記の配送費や販売手数料などを含んだ原価だ。ちなみに「毎月変動するコスト」ではないので注意しよう。

経営者は、必ず「限界利益」を把握しておかなければならない。「年商**億円!」と言っても、利益率次第で純利益は何とでもなる。売上目標を達成するために逆ザヤで投げ売りしたら。。。意味ない。つまり「売上高」は「限界利益」を最大化する「手段」であり、あくまでも「目的」は「限界利益」。年商なんて忘れてもいいので(?)限界利益をしっかり頭に入れておこう。

創造付加価値

税理士の私が言うのもヘン!と思われるかもしれないが、私は、試算表や決算書の利益を信じていない。なぜなら「経営状態を表していない」ことが多いからだ。利益が出ていても「節税」して意図的に圧縮することがある。そういう意味では「操作された数字」なので「そのまま」では役に立たないのだ。

「創造付加価値」(と私が命名した)利益がある。これは「経営者の意思次第で増減できるコスト」を含めずに計算した利益だ。

例えば・・・

  • 役員報酬
  • 経営者の交際費など飲食費
  • 節税目的の生命保険
  • 税務署に怒られそうな私的コストなど

これらを「経営コスト」という。この恣意的に何とでもなる(?)経営コストを含めずに計算する利益が「創造付加価値」だ。これが本当の「実力」だ。

例えば、経常利益が1000万円だとする。もし、役員報酬を1000万円アップすれば、たちまち経常利益はゼロなるが、創造付加価値は、役員報酬は含めずに計算するので変化しない。つまり、経常利益は、役員報酬で操作されるので「収益力の目安」にはならないのだ。

経営者は、この「創造付加価値(=本当の実力)」を知っておく必要がある。目安は「限界利益の30%以上」。「想い通り経営」には、限界利益の30%以上の創造付加価値を残す実力が必要だ。

時価自己資本

前述した「自己資本」。「貸借対照表」の右下に記載されている「純資産」だ。でも、残念ながら「貸借対照表」に記載されている「純資産」は「簿価」なので、経営的には意味がない。経営者は「純資産=自己資本」を「時価」で把握しておく必要がある。その方法は・・・

1)会社の資産をすべて換金したらいくらのキャッシュに変わるか?
2)会社の負債をすべて支払・完済するには、いくらのキャッシュが必要か?
この(1)と(2)の差額が「時価自己資本」だ。

つまり、すべての負債を支払い、返済した後に、どれだけの「現ナマ」が残るか?の数字。「解散価値」でもある。会社を解散し清算したときに株主に払い戻される資本だ。

この計算をしてみて・・・

想定外のキャッシュが残る場合
=自社株評価が高騰しているかも、だ。相続税を心配しよう。

全部、払いきれない場合
=事実上の債務超過。体質改善しなければ倒産する。

このように、多くても少なくても重要な課題が隠れている場合がある。経営者なら、自社の「時価自己資本」を正しく知っておこう!

まとめ

以上、経営者が知っておくべき会社の3つの数字を紹介した。「限界利益」「創造付加価値」「時価自己資本」。

どれだけ忙しくても、毎月の試算表でこの3つの数字は絶対に確認するようにして欲しい。自社の数字なので、当事者として様々な課題に気付くきっかけになるはずだ。

ただ、これらの数字は、一般的な「試算表」や「決算書」には、記載されていないので、電卓を叩いて計算しなければならないが、「管理会計」であれば、これらを常に正しく把握することができる。この話を「管理会計の活用」のきっかけにしてもらえれば幸いである。

お役に立ちますように!