「経営計画」とリンクする「人事評価」がベスト

中小企業にとって「正しい人事評価制度」とは、経営目的の実現や経営目標の達成のため、その担い手である社員の成長支援ツールとして機能しているものです。

そのためには「経営計画」によって「ゴール」「シナリオ」「キャスティング」を具体的に示し「人事評価基準」によって、そのために「必要なスキル」を示すことがとても大切です。

「私はなぜ成長しなければならないのですか?」

社員にこのように問われたら、あなたは何と答えますか?

「私はなぜ成長しなければならないのですか?」

もし、言葉に詰まるようであれば、ぜひ「正しい人事評価制度」を活用してください。

「正しい人事評価制度」とは、経営目的の実現や経営目標の達成のため、その担い手である社員の成長を支援するツールとして機能しているものであり、その目指すところは「みんなで幸福」です。

社員への回答は・・・

幸福になるため!

です。

「なぜ成長しなければならないのか?」の答えは「みんなで経営目的を実現し、目標を達成して幸福になるため」なのです。

したがって、そのためには経営目的や経営目標が一人一人の幸福の実現に結びついている必要があります。まちがっても経営者しか幸福にならないような目的や目標を設定してはなりません。「経営者の犠牲になるために成長する人」なんていません。

目的や目標をみんなで実現・達成してその成果を分かち合い、それぞれが「幸福」を得る。会社はそのための道具なのです。

私はなぜ成長しなければならないのですか?

この問いかけに「みんなで幸福になるためだよ」と本音で返せる経営者のために「正しい人事評価制度」はあります。

したがって、もうお分かりのように「正しい人事評価制度」の前に「正しい経営計画」が必要になります。

GSCが明確な「正しい経営計画」

「正しい計画」とは、GSCの3要素が明確な計画です。

  • G:ゴール:いつ、どこへ到達するのか?
  • S:シナリオ:ゴールまでの道のりは?
  • C:キャスティング:その役割は誰が担う?

この3要素の中でとくに重要なのは「ゴール」。

みんながワクワクできるようなゴールであることが大切です。あなたが「この指とまれ!」と発した時、みんなは集まってくれるでしょうか?「社長!ぜひ、お供させてください!」と。

たとえば「売上は前期比150%を目指すぞ!」と掲げた時に社員たちは心からワクワクしているでしょうか?「面白い!やりましょう!」と思ってくれるならゴール設定は正解です。でも「(150%なんてしんどいだけじゃん・・・)」なんて思われているとすれば「経営計画」も「人事評価」も「絵に描いた餅」でしかありません。

ゴールするために、どんなスキルが必要か?

ゴール(=経営目的や経営目標)するために社員たちにはどんなスキルが必要か?を書き出しましょう。それが「人事評価基準」のベースとなります。

ゴールは会社によって様々です。どんどん規模拡大を目指すような「攻撃型ゴール」もあれば、今の状態をキープしようとする「守り型ゴール」もあります。あるいは、新商品や新サービスのリリースを準備するような「開発型ゴール」もあります。当然、これらの「複合型ゴール」も少なくないでしょう。

社員たちにどのようなスキルが必要なのか?はそれぞれのゴールによって変わります。「攻撃型ゴール」であれば「営業系のスキル」が優先されるだろうし「開発型」であれば「開発系のスキル」が優先される、という具合です。

「目指すゴール」と「求めるスキル」が結びつくことが非常に重要なのです。

スキルが上がるから給与や賞与が増えるのではない

人事評価の結果、給与や賞与が増減することは当然です。しかし、社員たちが誤解しないように常日頃から伝えなければならない大切なことがあります。

スキルが上がると給与や賞与が増える?

・・・ではありません。これには大切なことが抜けています。

スキルが上がりゴールへの貢献度が増すから給与や賞与が増える

「屁理屈」や「言葉遊び」に聞こえるかもしれませんが、分かりやすい例を紹介すると・・・

私は、英会話を勉強して日常会話には困らなくなりました。

この場合、英語力によってゴールへの貢献が認められるなら待遇はよくなるでしょう。でも「英会話スキル」を磨いても「ゴールのために英語は必要ない」のであれば、待遇は変わりません。「個人的な技能」で待遇が変わるわけではないのです。当然ですが、あくまでも「ゴールへの貢献」が評価されなければなりません。

「私が英会話を一生懸命勉強しているのに、なぜ評価されないのですか?」
「いま目指しているゴールに英語は必要ないからだよ。しかし、いずれ英語が必要になるときがくるかもしれない。その時は評価基準に入れるよ。」

ゴールが変われば人事評価基準も変わる

以上、目的・目標と人事評価制度の関連性を整理しました。

一言でいうと「人事評価は経営目的・経営目標への貢献度を測る道具」です。

したがって「人事評価基準」は、ゴールが変われば、改定が必要になることもあります。次の新しいゴールのために、新たなスキルが必要になるなら追加しなければならないし、必要性が低くなったスキルがあるならそれは評価基準から削除です。

経営計画と人事評価基準は同時リリースすること

いままでボクが相談をもらった会社で「経営計画」と「人事評価基準」を同時リリースしているところはありませんでした。

しつこいようですが「経営計画」と「人事評価基準」は一体のものです。

この2つを同時リリースすることで、社員たちの理解度は全く違ったものになります。

ちなみに制度運用のスケジュールは次のようになります(3月決算の場合)。

時期イベント
3月前期末前期末人事評価面談
経営計画と人事評価制度のリリース
4月期首
5月
6月夏季賞与(または7月)
7月
8月
9月中間期上半期人事評価面談
10月
11月
12月冬季賞与
1月
2月
3月期末期末人事評価面談
新年度経営計画・人事評価制度のリリース
4月新年度期首

まとめ

「経営計画」とリンクする「正しい人事制度」について紹介しました。

  • 経営目標は、みんながワクワクするゴールにすること
  • ゴールへの貢献度を評価すること
  • 経営計画と人事評価制度は毎年同時リリースすること

みんなでゴールして幸福になるために成長しよう!という大義がなければ、社員たちは「給与や賞与を増やすため」に働くことになります。極端な言い方をすれば「給与さえもらえれば、会社の目標はどうでもよい」という社員たちが増えていくことになるのです。

経営者としての選択。

  • 手間のかかる「正しい人事評価制度」を運用するか?
  • ゴールに無関心な社員たちと事業を継続するか?

ぜひ、ゆっくり&じっくり考えてみてください。

お役に立ちますように!

30年以上、税理士として数百名の中小企業経営者と向き合ってきた経験から、独自のメソッドで成長志向経営者の「想い通り経営」をサポート。特に、管理会計を活用した業績分配制度の設計、運用フォローに定評がある。20~40代の若手経営者の兄貴的存在として多くの支持を得ている。1961年生丑年蠍座。