「経営者の守備力」致命的なリスクから会社を守るチカラ

この記事のポイント

会社に致命的なダメージを受けるかもしれない法務・税務・労務のリスクを放置していないだろうか?

もしそうならば「守備力」を見直さなければならない。

「想い通り経営」に必要な「経営者の心技体」。ここでは「技」の中でも経営スキルの大切な一つ「経営者の守備力」について、その大切さと、改善のヒントを紹介する。

「守備力」が足りない経営者に起きる当然の不都合

「心技体」の「技」は、「基礎スキル」と「経営スキル」の2つに分けているが「経営スキル」は、経営者必修の大切な実務スキルだ。

心技体

その一つである「守備力」は「会社の成長に対する致命的なダメージを回避するチカラ」と定義している。基礎スキルの「管理力(=常に最悪のリスクを想定し、十分な事前行動を行い、被害や損害を最小限にするチカラ)」の実務版として「経営スキル」のカテゴリーでは「法務・税務・労務」という視点でセルフチェックしてほしい。

クドイ説明はいらないだろう。この、法務・税務・労務についての「守備力」が不足していると、経済的ダメージ、信用的ダメージなど、想い通り経営とは真逆な不都合がいつ起きてもおかしくない。

「守備力」の高い経営者に学ぶ3つの大切な視点

この「守備力」が優れている経営者には大切な共通点がある。そのキーワードは、「敏感」「応急処置」「根本解決」の3つ。もし、この「守備力」に不安を感じるのであれば、是非、この3つの視点について自問自答してみよう。

敏感にリスクを感知する

まず、最初は「敏感」だ。致命的なダメージを受けるようなリスクも、そもそも感知しなければ対処のしようがない。「守備力」の優れた経営者はリスクに敏感であり、その多くは「心配性」である。「心配性」というと神経質でハートが弱いというようなイメージを持つかもしれないが、そのようなネガティブなものとは全く違う。むしろ「経営責任」を強く認識している責任感からくる心配性だ。

その真逆なタイプが「なんとかなるだろう」と、悪い意味での楽観的なタイプ。このタイプは経営者としては無責任と言わざるを得ない。実際、多くの場合、なんとかなるのであるが、そのプロセスで多くの人たちに迷惑をかけることになる。

大切な取引先や社員に迷惑をかけないようにと経営責任を強く認識し、敏感にリスクを感知する。守備力の優れた経営者の共通点である。

迅速な応急処置をする

2つ目のキーワードは「応急処置」。実際には法務・財務・労務リスクが顕在化することも少なくないが「守備力」の優秀な経営者は、火種が小さい間に迅速な応急処置をする。素早いのだ。

発生してしまったリスクは仕方がない。しかし、被害を最小限に抑えるためにスピーディーに動かなければならない。当たり前のようであるが、案外「後回し」にするタイプの経営者も少なくない。この期に及んで「なんとかなるだろう」とグズグズして被害を大きくしてしまうのだ。

「守備力」の優れた経営者は、リスクが見えた瞬間、迅速な応急処置を行う。

根本的に解決する

そして3つ目のキーワードは「根本解決」である。「再発防止策」が根本的なのだ。簡単な例で説明すると「現金管理」。

  • 「盗難防止用に堅牢な金庫に保管」
  • 「盗難防止のため、オフィスに現金をおかない」

この二つの差だ。つまり「リスク対応策」ではなく「リスクそのものが発生しないように」守るのだ。

経営者として「守備力」が優れていることの幸福

改めて、経営者として「守備力=会社の成長に対する致命的なダメージを回避するチカラ」が優れていることの幸福を考えてみよう。つまり「経営者の守備力が優れている」とはどういう状態なのか?だ。

発生確率が低いリスクについても
万が一の被害想定を行い事前対策を行っている。
また、リスクは小さい間に敏感に感知し、迅速な応急処置を行うと同時に
二度と発生しないように根本的解決を行う。
これらのリスクマネジメントによって安心して経営している状態

本質は、このような自分の状態を「幸福」と感じる「心」を持っているか?である。このように「万が一のリスクから会社を守る」ということが「理想論」や「建前論」と感じてしまうならば残念ながら「想い通り経営」は実現できない。

「経営者の守備力」は、「想い通り経営」に不可欠な「技」としてとても大切なチカラの一つだ。

あなたは何点?

1点:理解レベル
このチカラについて「理解」はできるが「納得・賛同」はできない。

2点:納得・賛同レベル
このチカラが必要なことは「納得・賛同」できる。しかし、身につけるには自信がなく、それによる不都合は受け入れるしかない。

3点:行動レベル
このチカラ不足によると思われる経営上の不都合が起きているので、このチカラを身につけようと目下「トレーニング中」である。

4点:習慣レベル
このチカラ不足が原因の経営上の不都合は起きていないので、この考え方、行動は習慣化しており合格レベルだと思う。

5点:指導者レベル
このチカラは当社の管理者や幹部クラスにも必要なので、自らが模範となって指導している。

「守備力」をトレーニングする方法

さて、ここまで読んで「心が痛い」と感じた人、つまり「自分には守備力が不足しているな」という自覚症状があれば早速トレーニングを始めよう。

「守備力」のトレーニングは「知ること」が主となる。リスクを敏感に感知することができない原因のほとんどが「知識不足」である。自社のビジネスに関わる法的なリスク、税務を含む財務リスク、そして近年多発している労務リスク。これらのリスクでダメージを受けてしまう経営者のほとんどに悪気も悪意もない。

後悔はするのは「知らなかった・・・」である。

経営者ならリスクを知れば、余程呑気なタイプ・鈍感なタイプでない限り、おのずと対策を考えるものだ。まずは「知ること」から始めよう。

そのためには「顧問弁護士」「顧問税理士」「顧問社労士」に改めてレクチャーを受けることをお勧めする。「当社には、どんなリスクがありますか?その被害はどれくらいが想定されますか?」とダイレクトに聞くことだ。そのとき、必ず「被害想定」を具体的に聞くことを忘れないようにしてほしい。それが「許容範囲」であれば、もはやリスクではない。これは、自分で判断すべきことだ。

税務の世界でよくある話を紹介しておこう。

経営者「年末に、自分も賞与を100万円もらうことにしたよ」
税理士「社長、ダメですよ!課税されます!」

税理士は「課税されるからダメだ」という表現をすることが多い。まるで経営者には賞与を支給してはならない、と言われているように感じてしまう。しかし、その課税が許容範囲であれば、OKだ。

逆のケースもある。税理士にすれば少額かもしれないが、経営者にすれば、その負担は大きい、というようなケース。税理士は軽く「大丈夫っすよ!」なんて言うが、いざ課税額を知ると「え?こんなに納税するの?」という笑えないトラブルも少なくない。

整理しよう。「守備力」を高めるために「知ること」から始めよう。そして、そのリスクが自分の許容範囲を超えているのかどうかを判断し、超えている場合は、具体的な「根本解決」をする。

これを定期的に継続すれば、必ず「守備力」は高まる。「考え方」と「行動」を変えて「結果」を変えよう!

【参考】習慣化のステップ
  • 理解レベル:理解できる。
  • 納得レベル:納得でき、賛同もできる。
  • 行動レベル:高めなければならない=MUST)と思い行動を続ける
  • 習慣レベル:MUSTからWANT(=高めたい)に変化する

まとめ

以上、経営者の守備力「会社の成長に対する致命的なダメージを回避するチカラ」を紹介した。大切な視点は「敏感」「応急処置」「根本解決」だ。「想い通り経営」を実現するための「経営者の心技体」のなかの大切な1つである。経営者の「考え方」が変われば、「行動」が変わり、望ましい「結果」に変わる。是非、参考にしてみてほしい。

お役に立ちますように!

【このブログについて】「若手経営者のための経営支援ブログ」