「経営者の伝達力」大切なことを確実に伝えるチカラ

この記事のポイント

伝えたいことが、正しく伝わらない、って困っていないだろうか?

もしそうならば、あなたの「伝達力」を見直す良い機会かもしれない。

「想い通り経営」に必要な「経営者の心技体」。ここでは「技」の中でも基礎スキルの大切な一つである「経営者の伝達力」について、その大切さと、改善のヒントを紹介しよう。

「伝達力」が足りない経営者に起きる2つの不都合なこと

「心技体」の「技」は、「基礎スキル」と「経営スキル」の2つに分けている。
「基礎スキル」は、経営者に限らず、すべてのビジネスパーソンに共通する必須スキルだ。(基礎スキルの一覧はこちら

心技体

その一つである「伝達力」は、当社では「大切なことを、伝えたい相手に、正しく確実に伝えるチカラ」と定義している。

このスキルは、経営者でなくても、ビジネスパーソンなら誰にでも必要なチカラであるが、チームを率いるリーダーである経営者には特に大切なスキルだ。

会社を経営していくためには、「事業目的」をはじめとして、その目的を実現するための「経営理念」「経営方針」「経営計画」「実務指針」「諸規定」「マニュアル」「ルール」などなど、伝えるべきことがたくさんある。多くの人を束ねてリーダーシップを発揮するためには、これらを正しく確実に伝えなければならない。

「伝達力」の方程式は「伝える質」×「伝える量」であるが、この「伝達力」が足りない経営者には、次のような不都合がしばしば発生する。

「伝える質」何度言っても分かってもらえない

「何回同じことを言わせる気だ!」と口に出すか出さないかは別にして、そのような感情を抱いたことはあるはずだ。この感情を抱いたときの大切な視点は「伝える量」ではなく「伝える質」に問題があるのでは?と逆の立場に立って自らを振り返ることだ。

「誤解」「勘違い」「思い違い」「思い込み」する人が一人か二人であれば、聞く側の問題かもしれないが、「自分の周りには、そういう人が多い」という場合は「相手」ではなく「自分」に問題がある可能性が大だ。自分が「正しく伝えられてないのでは?」と振り返ってみよう。

「伝える量」大切なことを忘れる人が多くて困っている

人は忘れる動物だ。一度聞いたことは絶対忘れない、という人は少ない。自分自身にとってさほど重要でない、という話ならなおさらだ。「前に言ったでしょ?」と詰め寄ったところで「??なんだっけ??」「あの大切な話だよ!」「そんなに大切なことだったの?」。そんな場面を経験したことはないだろうか?大切なことは継続的に反復して伝え続けなければならないのだ。、つまり「伝える量」が大切である。

大切なことを正しく、確実に伝えている経営者に学ぶ3つの視点

この「伝達力」が優れている経営者には大切な共通点がある。そのキーワードは、「目的」「明解」「反復継続」の3つ。もし、この「伝達力」に不安を感じるのであれば、是非、この3つの視点について自問自答してみよう。

必ず目的を伝える

まず、最初は「目的」だ。「伝達力」が優れている経営者は、なにを伝えるにしても「目的」を付け加えることを忘れない。大切なことほど、仮に、それが常識であり、当然のことであったとしても「念押し」として「目的」を付け加えるのだ。

「この資料をA社に送ってほしい」では足りない。伝えることに丁寧な経営者なら「この資料は、当社にとってもA社にとっても、今後の事業展開に大きな影響があるから、金曜日の午前必着で書き留め郵送してほしい」と「これでもか!」というくらいの情報量を伝えているものだ。

人事の場面であれば、「君を責任者に任命する」と同時に、責任者のミッション、期待している成果など「ポジション伝達」ではなく「役割伝達」を行う。

このような場面で「考えたらわかるだろう!」と言う経営者に出会うことがある。これは「考えて分かる優秀な人材」が揃っている会社の経営者であれば問題ないだろうが、意外にも、優秀な人材を揃えている会社の経営者は「考えたらわかるだろう!」って突き放した言い方をしないので、皮肉なものだ。

このように「伝達力」が優秀な経営者には「必ず目的を伝える」という共通点がある。

伝えることが明解

2つ目のキーワードは「明解」。「伝達力」において「分かり易さ」は当然のキーワードだ。そのポイントは「あいまいな言葉を使わない」ことだ。

「この資料、なるはやで、ちゃんとお願いね!」
「はい!」

これだけでエラーなく意思疎通ができる関係なら問題ないが、必ずしもそうではないのではないだろうか?皮肉なことに「もちろん、相手を見極めて言い分けをしてるよ」という経営者ほど「口癖」に気付いていないことが多い。

分かり易い伝え方とは「話し言葉」に限らず「書き言葉」でも同様で、基本のテンプレートは

  1. 結論
  2. 目次
  3. 内容

つまり「結論ファースト」だ。話すときは「(結論)についてお話します」と言い出す。メールなら、タイトルに結論を書く、という具合だ。特にメールで、意外とやらかしているのが「タイトル:次回の会議の件」、というフレーズ。これを「結論」を意識した「タイトル:次回の会議、中止の件」とする場合と比べればよくわかるだろう。

分かりやすく伝えるにあたり、もう一つ大切なことは「可能な限りワンフレーズ=短い文章」で、というのが原則だ。

「例の件は、先方のA部長がさ、なんていうか、気難しいっていうか、そうだろ?でさ、例の件を提案してみたんだけど、文句ばかりいわれてさ、例の見積もりが気に入らないらしくてさ・・・ダラダラダラ・・・ま、最後はOKだったんだけどね・・・」

こんな話し方をしていないだろうか?相手の注意力はフェードアウトしていく。同様のことを「伝達力」を意識して言い換えれば、

「(結論)例の件、上手く行ったよ。(目次)①10%ディスカウント、②今月末納品、って条件はついたけどね。(内容)①値段はね、先方のA部長、ブツブツ言ってたけど、結局OKだってさ!②納期も押し切ったよ。ご苦労様!」

って具合だ。

このように「伝達力」が優秀な経営者には「伝えることが明解」という共通点がある。

定着するまで反復継続している

もう一つのキーワードは「反復継続」という共通点だ。

相手は「人間」だ。記憶は時間とともに褪せていく。「一度伝えたから大丈夫、忘れるほうが悪い」なんて言ってたら、残念ながら人心掌握はできない。

「伝達力」が優秀な経営者は繰り返すことの効果をよく知っている。

「社長、耳にタコできます!」って言われても安心しない。言葉を選ばずに言うと「相手の頭に定着するまで刷り込み」を続けるのだ。そういう意味では「朝の唱和」も一理あるが、上記の「目的」「明快」が条件だ。目的も分からず、分からないことは繰り返しても意味がない、ということ書き加えておく。

反復継続のポイントは「クドイ!」の一歩手前で止めることだ。「よくわかっていることを何度も聞かされる」のは逆効果となることも注意しよう。

このように「伝達力」が優秀な経営者には「定借するまで反復継続している」という共通点がある。

さて、あなたは大丈夫だろうか?

経営者として「伝達力」が優れていることの幸福

改めて「経営者として伝達力が優れていること」の幸福を想像してみよう。「経営者の伝達力が優れている」とは、どういう状態なのか?だ。例えば、下記のような状態。

  • 「伝えたいこと」は、常に相手に正しく伝わり、
  • 「意思疎通」が良好であり、
  • 「誤解」「思い込み」「勘違い」などによるエラーとは無縁な状態

本質は、このような自分の状態を「幸福」と感じる「心」を持っているか?である。このように「大切なことが正しく確実に伝わる」ということが「理想論」や「建前論」と感じてしまうならば、残念ながら「想い通り経営」は実現できない。

「経営者の伝達力」は「想い通り経営」に不可欠な「技」としてとても大切なチカラの一つだ。

あなたは何点?

1点:理解レベル
このチカラについて「理解」はできるが「納得・賛同」はできない。

2点:納得・賛同レベル
このチカラが必要なことは「納得・賛同」できる。しかし、身につけるには自信がなく、それによる不都合は受け入れるしかない。

3点:行動レベル
このチカラ不足によると思われる経営上の不都合が起きているので、このチカラを身につけようと目下「トレーニング中」である。

4点:習慣レベル
このチカラ不足が原因の経営上の不都合は起きていないので、この考え方、行動は習慣化しており合格レベルだと思う。

5点:指導者レベル
このチカラは当社の管理者や幹部クラスにも必要なので、自らが模範となって指導している。

「伝達力」をトレーニングする方法

さて、ここまで読んで「心が痛い」と感じた人、つまり「自分には伝達力が不足しているな」という自覚症状があれば早速トレーニングを始めよう。

自分が言いたいこと、の前に、相手が聞きたいこと、という視点

「伝達力」を改善するために大切なのは「自分が伝えたいこと」の前に「相手が聞きたいこと」という視点だ。

つまり「相手の興味を引くには、どのように話せばいいか?」という根本的なスタンスを確認してみてほしい。

外面(そとづら)と内面(うちづら)が極端に違う経営者に出会うことがある。顧客に対しては、懇切丁寧に話しているのに、社員たちには、突然、雑な話し方になるという、まるで「バイリンガル」な経営者だ。このタイプの経営者には「全部、外面でちょうどいい」とアドバイスする。

「内面」が雑な人は相手=社員に甘えているのである。相手の「解釈力」に頼っている、とも言える。「全部言わなくてもわかるでしょ」とか「子供じゃないんだから全部言わなくてもわかるだろ」って、どこか、相手の解釈能力や、もっと言えば「善意」に甘えているのだ。

このような話し方に、相手は心情的に「聞くセンサー」が低下する。「聞きたい/want」から「聞かなければならない/must」に変わり、理解力や解釈力が低下するのだ。心当たりがあるなら、まずは「伝え方」の前に「伝える姿勢」を見直そう。それだけでも、かなり伝わり方は変わるはずだ。

メールで「書き方習慣」を変える

メールで「書き方習慣」を変えよう。

前述したように、メールのタイトルは「結論」だ。内容本文には、改めて「結論」を簡潔に書いて、目次と、内容の順番に書く。

これを習慣付けると、話し方も徐々に変わり始める。もちろん「意識」しなければならないが・・・。サンプルを掲載しておくので参考にしてほしい。

(メールのタイトルで結論を伝える)
「次回の会議はWEBでやりましょう!」

お世話になっております。マーカスの堀井です。
今日は「次回の会議をWEBでやりませんか?」のご相談です。
(もう一度結論、そして目次)
お伝えしたいことは3点です。
1)緊急事態宣言を受けての自粛が望ましいと思う。
2)WEB会議の前に、参加予定者向けに会議の予習の準備をする。
3)当日はクリック一つでご参加可能。
ご検討いただき、お返事いただければ幸いです。

(と、目次を書いてから、内容本文を書きだす)
まず(1)の自粛が望ましい、という件ですが・・・

このようなメールを「日課」にしてほしい。これを継続すれば、必ず、伝達力は高まるはずだ。

「考え方」と「行動」を変えて「結果」を変えよう!

【参考】習慣化のステップ
  • 理解レベル:理解できる。
  • 納得レベル:納得でき、賛同もできる。
  • 行動レベル:高めなければならない=MUST)と思い行動を続ける
  • 習慣レベル:MUSTからWANT(=高めたい)に変化する

まとめ

以上、経営者の伝達力「大切なことを確実に伝えるチカラ」を紹介した。大切な視点は、「目的」「明解」「反復継続」の3つだ。

「想い通り経営」を実現するための「経営者の心技体」のなかの大切な1つである。経営者の「考え方」が変われば、「行動」が変わり、望ましい「結果」に変わる。是非、参考にしてほしい。

お役に立ちますように!

【このブログについて】「若手経営者のための経営支援ブログ」