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人事評価の目的は「人材育成」
人事評価の目的は「人材育成」である。給与や賞与、待遇は、その副産物といって過言ではない。決して「給与や賞与を決めるための道具」ではないのだ。
先人は「企業は人なり」と言い伝えてきた。これは「本質」だ。かの松下幸之助翁は、
松下電器は人をつくるところです。
https://konosuke-matsushita.com
併せて電気器具もつくっております。
という「名言」を遺したという。恐れながらまったく同感だ。
社員が大切なら、人事評価は最優先テーマであるはず
中小企業経営者の殆どは「自社の社員を大切にしている。かわいい。」と言う。決して建前ではなく正直な気持ちだと思う。
しかし・・・
経営者と社員たちは「相思相愛」だろうか?御社の社員たちは、経営者であるあなたのことを尊敬し、大切にしてくれているだろうか?もし、そうでない、とすれば残念ながら「片思い」だ。
「片思い」の理由は様々あると思うが、その一つが「人事評価制度」の有無、あるいはそのクオリティーだ。
人は「認めてほしい」をいう欲を持っている。さらに、一生懸命頑張れば「褒めてほしい」という欲もある。ただ、どれだけ「よくがんばってるね!」「えらいね!」と認め、褒めても「ホントかな?」「信じていいのかな?」と不安であり「口だけかも・・・」と思うこともある。給料や賞与が変わらなければ「やっぱりか・・・」とがっかりする。
社員のこの不安を解消する方法の一つが「人事評価」だ。「人事評価」によって「あなたに感謝している」「あなたに期待している」「あなたが心配だ」と経営者であるあなたの想いを伝え、また、社員の心の声に耳を傾けることで「片思い」が「相思相愛」になる。人事評価はそのためのツールであり、最優先テーマである所以である。
人事評価によって、社員の成長を全力でサポートする
繰り返すが「人事評価」は「人材育成」のためにある。さらに付け加えると「人材が成長するから企業は成長する。
(人事評価)→(人材の成長)→(企業の成長)
「人事評価制度」を導入し、正しく継続的に運用することで、人材は成長し、活力のある組織に成長していく。
想像してみてほしい。
毎朝出勤してくる社員達が、活き活きとモチベーション高く仕事に取り組んでいる姿を。経営者にとって最高に幸せなシーンではないだろうか?
逆を想像するとゾッとする。社員たちに覇気はなく、モチベーションを上げようとアレコレ刺激しても暖簾に腕押し。当然、成果もそれなりにしかならない。仕方がなく高圧的な指示命令の連続・・・強烈な孤独感に襲われ経営者自身が楽しくない会社・・・もう辞めたくなる。
この両極端なシーンを分けるのが人事評価である。
人事評価によって、一人一人の状態を正しく評価し、成長課題を共有し、その解決のために全力でサポートする。つまり、人材育成のためには個々の社員ときちんと向き合うことがとても大切なのだ。
人材育成は簡単ではない
・・・とはいえ、だ。
すでに感じておられると思うが、人材育成は、そんなに簡単なものではない。人事評価をした翌日から組織が活性化するわけでもない。
だからといって「やらない理由」にはならない。人事評価は即効性はないが、確実な人材育成、組織活性化、つまり企業の成長には絶対に必要なツールだからだ。
人事評価がない、あるいは、そのクオリティが低いと、人材は育たない、優秀な人材の定着率は低い、労使のコミュニケーションは悪い、チームワークは悪い、挙句の果て賞与の決め方で悩む・・・経営者のモチベーションを削ぐことばかりが日常になってしまう。
それに比べれば、確かに簡単ではないが人材育成を目的とする人事評価制度を運用することの必要性はお分かりいただけると思う。
「企業は人なり」その中に経営者も含まれる
改めて「企業は人なり」という言葉を考えてみよう。
企業の発展成長に「人」は欠かせない、という意味であるが、この「人」を「社員・従業員」と思ってこの言葉を使っている経営者は多い。しかし、心して欲しいのは経営者も「人」である。「企業は人なり」、この「人」には経営者も含まれる、と考えるべきだ。
社員の成長と同様、経営者も経営者としての成長が求められる。経営者と社員が共に成長することで企業は成長する。
経営者が学ぶべきことは多岐にわたるが「人の集団を率いるトップリーダー」という意味で「人材育成」は最重要必修テーマの一つである。
私のマネジメント・コーチとしての経験で日常的に感じることは、タイトルにもあるように、人事評価のメリットは「経営者が一番成長する」ということだ。
人事評価基準を作り、それを社員に伝え、それに基づいて評価し、明らかになった一人一人の課題を解決するためにOJTを含め、成長支援をする。この活動が経営者を一回りも二回りも成長させる。人事評価制度のサポートをすると毎回「やっぱり、一番成長するのは経営者自身やな~」と思う。
真正面から社員と向き合い「他人を評価する」という、実は大変デリケートなテーマを通じて、多くの気付きを得、人のマネジメント、組織のマネジメントのスキルを向上させ、それが経営者と社員の「相互信頼」となり、結果「求心力」につながっていく。
人事評価は、MUSTではない、WANTだ!
もし「MUST=人事評価をしなければならない」と考えているなら、それは間違いだ。あるべき姿は「WANT=人事評価をしたい」だ。
あなたの会社の成長を支えてくれる社員の成長を望むなら、彼らに報いるため、彼らの信頼に応えるため「やりたくなるはず」だ。
きっかけは「MUST」でもいい。
- 給与や賞与の計算で悩みたくない・・・だから人事評価をしなければならない
- 社員が育たない・・・だから人事評価をしなければならない
- 友人の会社もやってる・・・だから人事評価をしなければならない
- 無いのは格好がつかない・・・だから人事評価をしなければならない
動機は不純であっても、なんであっても、その過程で、様々なことに気付き、いずれ「社員のためにもっとクオリティの高い人事評価をやりたい!」と思うことができれば大成功だ。「WANT=人事評価をやりたい!」~「もっとやりたい!」と考えることができればあなたの会社は大きく変わるだろう。
まとめ
どうだろうか?「企業は人なり」、経営者と社員が共に成長し、会社を成長させるためのツールである「人事評価制度」。
会社のあるべき姿のために一人一人はどうあるべきか?そのゴールを言語化し、共有する。それが「評価基準」となりその指導者、支援者としての経営者自身が成長する会社の大切な仕組みである。
人材育成・成長支援を目的とする正しい人事評価制度を是非活用して欲しい。
お役に立ちますように!