「経営者の正直力」正直に考え、行動する勇気のチカラ

この記事のポイント

経営者の「うそ」や「ごまかし」は、時に会社を一瞬にして吹き飛ばす破壊力があるが、そうでなくても会社を内外からじわじわと蝕んでいくものである。

コツコツと信用信頼を重ね、健全経営を持続する経営者には大切な共通点がある。それは「正直力」。

「想い通り経営」に必要な「経営者の心技体」。「心」の中の大切な一つ「経営者の正直力」について、その大切さと、改善のヒントを紹介しよう。

「正直力」が足りない経営者に起きる3つの不都合なこと

長い人生、誰でもウソをついたり、ごまかしたりしたことはあるだろう。その時は、本人なりに何らかの事情や言い訳がある。問題は、罪悪感を感じているか?だ。

ウソやごまかしが癖になり、日常になり、もはや、罪悪感もマヒしている経営者に会うと非常に残念な気持ちになってしまうし、それどころか時には腹立たしさまで感じてしまうことがある。

「心技体」の「心」、その中の大切な一つである「正直力」が足りない経営者だ。正直な考え方や行動こそが「信用」や「信頼」を積み重ねていく唯一の手段なのにとても残念である。

この「正直力」は「ウソをつかない、ごまかさない。自分にも、他者にも正直に考え、行動する勇気のチカラ」定義している。

この「正直力」が足りない経営者には、次のような不都合が現象として現れることが多い。

バレたらヤバい・・・と思うことが心の負担になっている

まだ、誰にもバレていない内緒事を抱えていて、内心ヒヤヒヤ、ビクビクしている、という心の負担。

例えば「脱税」をしていて、税務署が来たらどうしよ~っていう具合だ。そんな「後ろ向きのエネルギー」で時間や労力、気力を費やすことほど勿体ないものはない。

隠し事がバレないように、新たなウソをつくことがある

「ウソにウソを重ねて・・・」。

私の30数年の税理士経験から思い出すのは「粉飾決算」だ。ホントは赤字なのに、銀行向けに「かさ上げ」して黒字を装う。最初はビクビクしてたのに、だんだん慣れてきて罪悪感も薄らいでいく。そして、ついには本当の業績がわからなくなる・・・。

人を騙し続けてついには自分も「自分に騙される」という悲劇だ。代償は大きい。

心から信用できる相手が少ない

「正直力」が足りない人は、心から信用できる相手が少ない。ご存じだとは思うが、自分自身がウソをついたり、ごまかしたりするので「相手もウソをついているかもしれない」「相手もごまかしているかもしれない」と疑心暗鬼に陥る悪循環だ。

「うわべの付き合い」「疑いながらの付き合い」「常にかけひき」しかできないなんて辛い、と思う。

健全経営を持続する経営者に学ぶ「正直力」、3つの大切な視点

「正直力」が強い経営者には大切な共通点がある。そのキーワードは「自分」「他者」「勇気」の3つだ。もし、この「正直力」に課題を感じるのであれば、是非、この3つの視点について自問自答してみてほしい。

自分に正直か?

まず、最初は「自分」。「自分に正直」とは「ありのままの自分を認める、または受け入れる」という意味だ。もう少し言うと「自分の弱さを認めることができるか?」である。

何か辛いことがあって、本当は落ち込んでいるときに「落ち込んでない!」と無理をするのではなく「落ち込んでいる」と認める心(=マインド)である。

経営者という立場上、それを取引先や社員に見せる必要はなく、むしろ見せてはならないが、自分自身は正直に認め、受け入れることが大切である。これは心が強い、弱い、という耐ストレス性の話ではない。

組織のトップとして、意地や根性でごまかすのではなく「なぜ、落ち込むことになったのか」「テンションを回復するために何をすべきか」と、冷静に対処する必要があるからだ。

「正直力」の強い経営者は、自分自身のことを客観的に俯瞰する冷静さを持っている。「今、自分は喜んでいるぞ」「今、自分は怒ってるな」「今、自分は悲しんでいるな」など、自分の心の状態を冷静に落ち着いて内観し、その独自の対処法でセルフコントロールをする術を知っている。

「正直力」の強い経営者には「自分に正直」という共通点がある。

他者に正直か?

2つ目のキーワードは「他者」。くどい説明はいらないだろう。人として当然のことだ。

ちなみに「バカ正直」とか「ウソも方便」という言葉があるが、ここでいう「正直力」の持つべき視点は「事実を知った相手が、がっかりしたり、傷ついたりしないか」である。そのために「あえてウソをつく」ことが必要なときもあるだろう。杓子定規に捉えてほしくない。

「コンプライアンス」も「他者に正直であるべし」の典型だ。社会のルールを守らなかったり、期待を裏切ったりするような考え方や行動は、善良な人々の信用や信頼を損ねることになる。

「類友(るいとも)」と言うが「正直力」の強い経営者には、同様に「正直力」の強い人が集まり、善良なネットワークを築いていることが多い。

「正直力」の強い経営者は、当然ながら「他者に正直」という共通点がある。

正直を貫く勇気はあるか?

そして3つ目のキーワードは「勇気」という共通点。

強い「正直力」で、善良なネットワークの中で信用信頼を積み重ねている経営者に最も学ぶべきは「勇気」だ。「勇気」がない人は、叱責や批判、非難から自分を守るためにコソコソしたり、逃げたり、また新たなウソを重ねる。

クレームの場面を想像してみよう。ビジネスをやっていると、どうしても不都合なことが発生するものだ。顧客に対して、あるいは、社員に対して「あ!これはマズイな!」ということが起きる。その時の経営者の行動。

「申し訳ありません!原因は***です!再発防止策を講じます!」と潔く対応する経営者と、いろいろ自分を正当化するためのウソや誤魔化しをする経営者。

そもそも、人がウソをついたり、ごまかしたりするのは、自分のプライドを守ったり、経済的な損害の発生を避けたり、大切な何かを失うことを恐れるからだ。つまり、自分ファーストなのだ。迷惑をかけて困っている相手より、自分を守ろうとして、ウソやごまかしを使う。そんなリーダーの支持率が上がる道理がない。

最終責任者である経営トップとしての責任を自覚し、迷惑をかけた相手を優先に考えて行動しなければならない場面において「正直力」が強い経営者には「正直を貫く勇気」を感じるものだ。

以上、これら「正直力」の3つの大切な視点を読むと「当たり前ことばかり」と思うだろう。ところが、自分はどうか?というと怪しくなる。心の奥底で「これは建前!」と思っている経営者が少なくない。多くの善良な人々は、自分の利益を優先し、ウソをついたりごまかしたりする経営者を支持することはない。

経営者として「正直であること」の幸福

改めて、経営者として「正直であること」の幸福を考えてみよう。「経営者の正直力が強い」とは、どういう状態なのか?

  • 自分に正直に、目の前で起きていることをありのままに受け入れ
  • 誰かを傷つけるようなウソやごまかしをすることなく
  • 勇気を持って正直を貫いている経営者が
  • この「正直力」によって信用と信頼を積み重ねている状態

本質は、このような状態を「幸福」と感じる「心」を持っているか?である。このように「自分にも他人にも正直を貫いく勇気を持って経営する」、ということを「理想論」や「建前論」と感じてしまうならば残念ながら「想い通り経営」は実現できない。

「経営者の正直力」、「想い通り経営」に不可欠な「心」を高めるためのとても大切なチカラの一つだ。

あなたは何点?

1点:理解レベル
このチカラについて「理解」はできるが「納得・賛同」はできない。

2点:納得・賛同レベル
このチカラが必要なことは「納得・賛同」できる。しかし、身につけるには自信がなく、それによる不都合は受け入れるしかない。

3点:行動レベル
このチカラ不足によると思われる経営上の不都合が起きているので、このチカラを身につけようと目下「トレーニング中」である。

4点:習慣レベル
このチカラ不足が原因の経営上の不都合は起きていないので、この考え方、行動は習慣化しており合格レベルだと思う。

5点:指導者レベル
このチカラは当社の管理者や幹部クラスにも必要なので、自らが模範となって指導している。

「正直力」を強くするために「心」をトレーニングする方法

さて、ここまで読んで「心が痛い」と感じたら、つまり「自分には正直力が不足しているな」という自覚症状があれば早速トレーニングを始めよう!

このブログで何度も出てくる「結果=考え方×行動」の方程式。つまり、今の不都合な結果を望む結果に変えるために「考え方=思考習慣」を変えるトレーニングだ。

心技体の「心」は、スキルではなく「あなたの価値観」に近いものなので、生い立ち、環境、経験、性格などが色濃く反映している。そういう意味で、そんなに簡単に変えられるものではないと思う。

さて、分かれ道だ。

  • 「考え方を変えて結果を変えるか?」
  • 「あきらめて、成り行きに任せるか?」

「考え方を変える」ための一番の原動力は「結果を変えたい」という「想い」の強さである。まずは、方法論の前に、この心構えを自問自答してみてほしい。「よし!結果を変えるために、考え方を変えるぞ!」と決意できるならば、是非、次のトレーニングを試してみよう。

STEP1:理解

「心」を変えるための最初の段階は「理解すること」である。「正直力」の重要性を理解できただろうか?

STEP2:納得・賛同

次は「納得・賛同」の段階。「正直力が大切だ」と本心で納得・賛同しているだろうか?当然であるが、納得や賛同ができない考え方には変えられない。

STEP3:行動

「理解」でき「納得・賛同」できたなら「行動」あるのみ、である。最初は「変えなければならない」という、MUSTの気持ちが強いと思うが、このMUSTが「変えたい!」というWANTの気持ちに変われば、それがゴールだ。「欲望」に変われば、あとは自然にこの考え方が当たり前になっていく。そこまでは「反復練習」あるのみ。

STEP4:行動を習慣に変える反復トレーニング

「手書きのノート」を用意して・・

  • 今日、どんなウソをついたか?
  • 今日、どんなごまかしをしたか?
  • それによって、誰を傷つけることになるか?
  • それによって、誰に迷惑がかかるか?
  • それによって、誰がガッカリするか?

これを毎日書き出すことを「日課」にする。これを継続すれば、必ず「正直力」は高まっていく。

「考え方」を変えて、「結果」を変えよう!

【参考】習慣化のステップ
  • 理解レベル:理解できる。
  • 納得レベル:納得でき、賛同もできる。
  • 行動レベル:高めなければならない=MUST)と思い行動を続ける
  • 習慣レベル:MUSTからWANT(=高めたい)に変化する

まとめ

以上、経営者の正直力「ウソをつかない、ごまかさない。自分にも、他者にも正直に考え、行動するチカラ」をご紹介した。大切な視点は、「自分」「他者」「勇気」である。

想い通り経営」を実現するための「経営者の心技体」の中でも、特に大切な「心」のチカラである。経営者の「考え方」が変われば「行動」が変わり、会社経営はあなたが望む「結果」に変わる。是非、参考にしてみてほしい。

お役に立ちますように!

【このブログについて】「若手経営者のための経営支援ブログ」