「経営者の正直力」正直に経営したい、と強く思うチカラ

「正直であること」。

人として「あたりまえ」である。

こと経営者に限って言えば「絶対に正直でなければならない」である。

正直でない人、ウソやゴマカシばかりの人に、誰も近寄らない。協力してくれる人、応援してくれる人、支えてくれる人、みんな離れていく。

会社経営には、多くの仲間たちとの信頼関係が必要不可欠であり、また、その信頼関係が強ければ強いほど、そのチームのパフォーマンは高くなっていく。

あなたが思うように「そんなの当たり前!」である。

しかし・・・である。

その前提となる「正直力」について、ちょっと深く考えてみよう。

正直とは?

まずは、言葉の定義。「正直」を辞書調べてみると

  • 正しくて、真っすぐなこと
  • 偽りのないこと
  • 見せかけや、ゴマカシのないこと

と説明してある。

似た言葉に「素直」があるが

  • 正直=発信(例:正直に話す)
  • 素直=受信(例:素直に聞く)

と区別しておこう。

ここでは、正しい発信、偽りがない発信、ゴマカシがない発信、あるいは、必要な発信をしない=隠すという意味で「正直」を考えてみる。

なぜ「ウソ」をついてしまうのか?

みんな「自分は正直」と思ってる。

「あなたは正直ですか?」と問いかけると、多くの人は「はい、正直です!」と(全員とは言わないが)さっそく「ウソ」をつくものだ。本人は「ウソをついてる」という自覚症状がなく、現実は「だいたい正直」「おおむね正直」「ほとんど正直」のレベルを「はい、正直です!」と答えている。「ほとんどウソはつきません」と答えてくれる人は「正直やな」と思うから不思議なものだ(笑)。

そもそも、なぜ「ウソ」をつくのだろうか?

  • 自信が無いからゴマかしてしまう
  • 背伸びしたい
  • 実力以上に評価してほしい
  • 信念がないから他人に合わせようとする
  • 非難や批判が怖い
  • 隠しておきたい不都合がある
  • 対立や争いを避けたい
  • 好かれたい・嫌われたくない
  • 得したい・損したくない
  • 逮捕される

おおむね、このような理由で「笑えるウソ」から「笑えないウソ」まで、バリエーション豊かにウソをつくものだ。

「正直であるべきだ」「正直でありたい」と思っている善良な人であっても、これらを「言い訳」にして、ついついウソを発してしまうことがある。

また「言い訳」が正しいと思っている場合は、そもそも「ウソをついている」という自覚症状がなかったり、「このウソは悪くないウソだ」と「正しいウソ(すでに言葉がややこしい・・。)」と開き直ってしまう。

正直でない経営者にかける言葉

規模の大小を問わず、経営者はチームのトップリーダーである。優秀かつ善良な仲間たちと共に幸福を追求し、日夜頑張るポジションである。この経営者が正直でないとどうなるか?多くを説明する必要はないだろう。

「誰もついてこない」である。

もう少し丁寧に表現すると「優秀な仲間」「善良な仲間」に恵まれない

「優秀な仲間」や「善良な仲間」が少ないチームの戦力は限られてる。「苦戦の日々」である。

ボクは、仕事柄多くの「苦戦している経営者」に出会うが、その理由、原因が「正直でない」というケースが少なくない。ストレートに言うと「経営者が正直でないから、仲間に恵まれず苦戦が続いている」という状態だ。

話していたらわかるものだ。

話をしていて「ミエハリやなあ」「風呂敷広げるなあ」「脱税・粉飾してるなあ」・・・「ウソついてるな」「ゴマカシてるな」と感じる経営者の会社が(中長期的に)順調だった試しがない。

ただ、同時に「正直になれない事情」も感じる。だから「正直になれ!」「ウソをつくな!」と「正論」を言っても空振りする。「わかってる!」と反発されるだけだ。だから、優しいボクは(?)正直でない経営者には「ウソをつかなければならない不都合な事情を解消しよう!」と声をかけることになる。

大切なのは「ウソ」の裏に潜んでいる不都合の解消

「ウソをつきたくて、ウソをついてるのではない」が「正直になれないこと」にストレスを感じている経営者のホンネだ。

  • まだ品質が悪いことは自覚している。でも、得意先やお客さんに正直に言えるはずがない
  • 手抜きをしているが、やむを得ない
  • 安い材料を使っているが、トップシークレットだ
  • ボーナス、数名に「お手盛り」をしているが、バレたらヤバい
  • 安いクルマに乗ってたらナメられるから、無理してる
  • 粉飾決算なんてしたくない。でも、せざるを得なかったんだ
  • 脱税がダメなことは知っている。でも、ついつい・・・
  • 経営理念?あ、あれは「お飾り」
  • 売上ノルマ?達成できると思って与えてない

大なり小なりの罪悪感を感じながら正直になれずストレスを抱えている。ご承知の通り、ウソとゴマカシは「解決策」ではなく「先送り策」でしかない。これらについて、罪悪感もなく「解決できるわけがない」「しかたがないやん」と思っている経営者は幸せになれない。世の道理だ。

「正直にさらけ出す」というのは「人として正しい」のかもしれないが、ビジネスの世界では「バカ正直」と言わざるをえない場面も多く、現実は「正直にしたくてもできないまま」毎日が過ぎていく。

ここで「正直力」の差がでる。

  • 「しかたがない」「無理だ」と、隠しながら永遠に不都合を先送りするか?
  • 不都合の根本的な原因を解決して、一日も早く「ありのまま」になるか?

「ウソをつかなければならない不都合」を一日でも早く解消することが「経営者の仕事」である。

  • 実力が足りず、お客さんや得意先にウソをついている、ゴマカシているなら、一日も早く、課題解決して実力をアップしなければならない
  • 給与や賞与が不公平になっているなら、公平な待遇になるように制度改定等の改善をしなければならない。
  • 銀行の顔色を伺いながら粉飾決算を続けているなら、さっさと収益性・財務体質を改善しなければならない。
  • 思ってもいないことを「経営理念」として掲げているのなら、それは降ろして、さっさと「自分の理念の言語化」をしなければならない。
  • 高級車が身分相応になるように稼がなければならない

このように「経営者のウソ」の裏には「経営課題」がある。

正直でないことに罪悪感やストレスを感じるのであれば幸い「正直力」がある証拠だ。「経営課題」がやむを得ず「正直な経営者」にウソをつかせている、とボクは考えている。「正直でありたい」というマインドがあるなら、それが原動力となって課題は解決する。

まとめ

「経営者の正直力」について考えてみた。

正直になれない経営者には、正直になれない事情がある。「正直になりましょう!」というのは簡単だが、そんな単純な話ではない。

「正直でない経営者」は、正直になれない原因を解消することで「正直な経営者」になるしかない。そのためには、正直でないことの「罪悪感」や「ストレス」、あるいは自己嫌悪を感じているか?である。「息をするようにウソをつくタイプ」は、そもそも会社経営をしてはならない。「ウソやゴマカシなんかせず、一日も早く正直に会社を経営したい」という「心」があれば、必ずトンネルを抜けることができる。

お役に立ちますように!

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