賞与・ボーナスの決め方|中小企業の業績連動型

「賞与・ボーナスをどうしようか?」と、中小企業経営者の多くが賞与・ボーナスの決め方で頭を悩ませます。特に、昨今はコロナの影響を受けて業績が思わしくない企業も多く、いつも以上に頭が痛いのではないでしょうか?

ボクの周りの中小企業においても背に腹を変えられず「今年は賞与・ボーナスは無し」という会社も少なくありません。でも、賞与が大幅に減額されたり、ゼロになったりすれば、このご時世なので「理屈」では理解できても「感情」では納得できない社員たちも多いものです。

業績が良い時も悪い時も、いずれも賞与・ボーナスの決め方は難しいテーマですよね。ボク自身も経営者の端くれとして創業以来長い間ずっと悩んでいたし、また、税理士としても多くの中小企業経営者の悩みを聞いてきたのでよくわかります。

そこで「考えなくてもよい方法」を紹介します!

賞与・ボーナスが自動的に計算される方法」です。

今から10年ほど前にボク自身の会社のために考案した「業績連動型賞与」の仕組みです。導入以来、何回もバージョンアップを重ね、今では多くのクライアント企業でも採用してもらっているおススメの方法です。

悩める中小企業経営者のお役に立てば幸いです。

業績連動型の仕組み

基本は「限界利益×分配率×個々の貢献率」というシンプルな計算式です。

  • 限界利益=売上高-変動費(仕入・外注費等)
  • 分配率:限界利益に対する賞与の総額の比率
  • 貢献率:人事評価による各人の点数の比率

たとえば・・・

  • 売上高3億円-変動費2億円=限界利益1億円
  • 分配率5%(試算を繰り返して会社ごとに決定)

とすると、賞与の総額は500万円となります。

これを、各人の人事評価の点数の割合でシェアします。たとえば・・・

  • A君:60点
  • B君:50点
  • C君:40点
  • D君:30点
  • E君:20点

とすれば、全員の合計が、200点になるので

  • A君:30%
  • B君:25%
  • C君:20%
  • D君:15%
  • E君:10%

が各人の貢献率となります。これに従って「分配」すると、各人の賞与は

  • A君:500万円×30%=150万円
  • B君:500万円×25%=125万円
  • C君:500万円×20%=100万円
  • D君:500万円×15%=75万円
  • E君:500万円×10%=50万円

という具合です。

業績連動型を採用するなら、毎年11月がラストチャンス!

給与や賞与に限らず人事の制度やルールが「後出しじゃんけん」になるのは、トラブルの元になるので避けなければなりません。また「どう計算されている分からない」というブラックボックスでは労使間の不信感が募るばかりです。

一般的に「賞与の算定期間」は、

  • 夏季賞与:12月~5月
  • 冬季賞与:6月~11月

というのが多いのですが、この場合、毎年11月が導入のラストチャンスです。

「来年から賞与・ボーナスは業績連動型とします!」と計算期間が始まる前に社内リリースしなければならないからです。

業績連動型のために準備する3つのこと

賞与・ボーナスを業績連動型にする場合、準備することは次の3つ。

  • 管理会計の仕組み
  • 人事評価の仕組み
  • 業績連動型のルール

管理会計の仕組み

業績連動型の賞与・ボーナスにするためには「業績を公表する仕組み」が必要です。

ボクは、そのために「管理会計」の仕組みを活用してもらうことを必須としています。

社員との相互信頼関係を良好に保ちながらこの制度を運用するためには「いま現在の業績はこれだよ」と月々公表することが効果的です。ただ、そのために試算表をそのまま公開することは困難なので「見せる部分」と「見せない部分」を切り分ける必要があります。そのための仕組みが「管理会計」なのです。

人事評価の仕組み

各人の貢献率を求めなければならないので人事評価の制度も必須です。

人事評価のポイントで「山分け」する制度なので、その「精度」がとても重要です。

特に神経を使うのが「職種別格差」。

例えば、営業マンの50点と、総務担当の50点は同レベルでいいのか?という問題です。同点であると分配率も同率になるので両者の賞与・ボーナスは同額になります。もし、それが不公平なのであれば、それぞれ職種別の「ウエイト付け」というチューニングが必要になります。

業績連動型のルール

業績連動型の賞与・ボーナスは「オープンな制度」でなければ効果は得られません。

コンセプトは「みんなで稼いで、みんなで山分けしよう!」というルールなので「稼ぎ(業績)はどうやって計算するのか?」「公平な山分けのために?」というルールを社内に公表する必要があります。

実務的には、計算方法以外に・・・

  • 中途入社した人は?退職した人は?
  • 想定外の業績になった場合は?
  • 特別な功労があった社員は?
  • 特別な処罰があった社員は?
  • 災害やパンデミックなど、外部環境に大きな変化があった場合の特例措置は?

など、様々なイレギュラーを想定してルール化しておく必要があります。

経営の安全性を確保するためにも、詳細のルールが必要なのです。

業績連動型賞与の参考記事

「業績連動型」の詳細については、いくつかの切り口で紹介しているので、それぞれの記事を参考にしてみてください。

まとめ

中小企業の賞与・ボーナスの決め方のひとつとして「業績連動型」を簡単に紹介しました。

もう賞与・ボーナスで悩むことがないよう、導入に向けてぜひ検討してみてください。

もちろん、設計、導入の段階では多少「しんどいこと」はありますが、毎年悩むことを考えれば、その「産みの苦しみ」はたいしたことはありません。

30年以上、税理士として数百名の中小企業経営者と向き合ってきた経験から、独自のメソッドで成長志向経営者の「想い通り経営」をサポート。特に、管理会計を活用した業績分配制度の設計、運用フォローに定評がある。20~40代の若手経営者の兄貴的存在として多くの支持を得ている。1961年生丑年蠍座。