【中小企業の内部留保】キャッシュ1億円を目指そう!?

中小企業の内部留保の考え方を紹介しよう。

内部留保はいくらがよいか?それは、企業規模や業種によって一律ではないが、たとえばキャッシュ1億円で考えてみよう。毎期500万円を20年間積み重ねる?それとも、毎期1000万円の利益を残して10年で達成する?

一緒に考えてみよう!

まずは内部留保の基本

本題に入る前に、まずは内部留保の基本について整理しておこう。

難しい話をすれば「資本金以外の剰余金」からの説明が必要になるが、中小企業の経営目線で考えるときは、もっとシンプルに考えればよいので、ここでは(というより、このブログ全般では)「会社の換金価値(=会社をたたんで清算したら、キャッシュはいくら残るか?)」を「内部留保」としている。これは「実質純資産」「実質自己資本」ともいう。

要は、換金できる資産は、すべてキャッシュに換えて、借入金や未払金など支払いが必要なものはすべて支払う。見落としがちであるが、リースの解約金や従業員の退職金など、帳簿には載っていないもの、つまり簿外負債もすべて支払ったとして計算する。それが「会社をたたんで清算した時に、最後に手元に残るキャッシュ」である。

内部留保

こうして見ると、決算書の貸借対照表に載っている「純資産(帳簿価格)」が「まぼろし」であることが分かると思う。貸借対照表には、換金できないものが資産として計上され、反対にリースの残金や退職金など「隠れた負債」は計上されていないので、それらで計算した「純資産(帳簿価格)」はアテにならないのだ。

ついでに、誤解を恐れずに言うと「決算書の自己資本比率」なんてナンセンスだ(笑)。

今、会社を解散し清算したら、キャッシュはいくら残るか?

さて、本題。改めて質問。

「今、あなたの会社を解散し清算したら、キャッシュはいくら残りますか?」

少々極端かもしれない。しかし、会社経営をしている責任者として知っておく必要がある。

いわゆる「相続税評価額」などではなく、最も生々しい数字である「現ナマ換金価値」を計算してみよう、という提案である「現ナマベース」での価値を計算する。

最近の貸借対照表を手元において計算してみよう。

  • 換金できる資産をすべて現金に換えれば、いくらになりますか?
  • 借入金や未払金などをすべて支払うには、いくら必要ですか?
  • 貸借対照表に記載されていない他の負債はありませんか?

さて、それぞれを計算すれば、どれだけの「現ナマ」が手元に残るか?である。これが会社の現段階での換金価値であり(相続税を気にしないならば)多ければ多いほど良い、というのが一般の考え方である。

資産形成ではなく経営基盤強化の視点で

このように「現ナマ」と繰り返すと、ついつい、株主でもあるオーナー経営者の資産形成といったイメージが強くなりそうであるが、そこは「経営」の視点で考えよう。

「換金価値が大きい」ということは、現金に裏付けされた内部留保が潤沢である、ということであり「財務基盤が厚い」ということである。

財務基盤が厚ければ

  • 銀行に神経を使うことなく、自己資金でアクションを起こせる
  • 多少リスキーな選択肢であってもチャレンジすることができる
  • 自然災害など、想定外の事象に遭遇しても簡単に揺るがない
  • 回収に時間がかかるものでも投資力がある

など、ざっと挙げてみても様々な「強味」を持つことができる。

目標としての換金価値1億円!

「経常利益は前期比の2倍を目指す!」 というように、多くの経営者は「目標利益」を持っている。しかし、その「理由」「根拠」を聞くと意外と説得力のある回答が返ってこない。

ここで、提案であるが「換金価値」を目標にしてみたらどうだろうか?

例えば「目標換金価値1億円!」というように。

キャッシュで裏付けされた内部留保が潤沢にあると、心の余裕はもちろん、上記のような強味を発揮することができる。

シンプルに考えれば、換金価値1億円のために税引後利益1000万円を10年続ければよい。10年は長すぎる!5年だ!ということであれば、税引後利益を2000万アベレージで5年続ければよい。もちろん、注意しなければならないのは「せっかくの利益で換金性が劣る資産を取得しない!」ことであることは言うまでもない。

念のために強調しておくと、換金価値は「税引後利益」の蓄積である。節税と称して無駄づかいをすれば、内部留保の増加は鈍化する。

(参考)
「経営者の会計力」数字で語るプロ顔負けのチカラ/行き過ぎた節税で自爆する・・・

コロナ禍と内部留保

2020年からしばらく続くコロナ禍で、明暗が分かれている。そもそもコロナに影響を受けないビジネス、良くも悪くも大なり小なり影響を受けたビジネスなど、様々である。

その中で、ビジネス的に厳しい状況に置かれている中小企業は少なくない。ボクが「明暗」というのは「想定外への備え」だ。やはり「持っている会社」は強い。

これからも、誰であっても災害の当事者になるリスクがある。大震災、台風、ウィルスなどによって日常を奪われたときに顧客を守り、社員や家族を守ることができるか?

できることをやりきっても守れなかったなら仕方がないと思う。しかし、経営者のリスク想定の甘さで、迷惑をかけるようなことがあってはならないと思う。

ぶっちゃけ、今回提案している会社の換金価値でなくても、経営者の個人資産でも構わない。イザという時に日頃お世話になっている人たちの期待を裏切ることがないように備えることが大切と思う。

あらためて、コロナ禍にあって「リスクマネジメントとしての内部留保」の視点も、書き加えておきたい。

(参考)
「経営者の管理力」全てが想定通りという先読みのチカラ
「経営者の守備力」致命的なダメージを回避するチカラ

まとめ:1億円かどうかはそれぞれの事情

キャッシュに換えられるものは、すべて換金し、その資金で負債を完済する。その結果、手元に1億円の「現ナマ」が残るとすればどうだろう?と想像してもらうためのきっかけとしてこの記事を書いた。

1億円ではテンションが上がらない、という人もいるだろうし、反対に、1億円もいらない、という人もいるだろう。あるいは、上述したリスクマネジメントの視点で考えると、また違って見えるかもしれない。冒頭に書いたように「1億円」は例示に過ぎない。

大切なことは、経営者は自社の「現ナマでの内部留保」を知り、それが十分なのか?不足しているのか?を把握しておくことが大切である、ということが伝わればよい。

あと、補足であるが、キャッシュで裏付けされた内部留保である「換金価値・実質純資産」を目標にすることきっかけに「経営計画」に取り組んでみることもお勧めである。むしろ、生々しい具体的な目標設定によって、テンション高く取り組めるのではないだろうか?

お役に立ちますように!