「経営者の孤独」は、どんなに時代が変わっても定番のテーマですね。この「経営者の孤独」について、まとめておこうと思います。
さて、あなたもそうかもしれませんが、中小企業の多くはオーナー経営者であり、どんなに大きな会社であっても、ただひとり、唯一「転職できないポジション」ですよね。そんなポジションゆえか、多くの経営者は「孤独を感じた経験」があります。私も、1999年に独立開業したその日から「孤独」をよく感じたものです。
目次
ビジネス上の孤独
「孤独」は「性格」や「考え方」が大きく影響するので、本人が「孤独」と思えば、それは「孤独」なのですが、まずはこの記事においての「孤独」について定義しておきます。
ちなみに、私は「独りぼっちで心寂しい状態」を「孤独」と定義していますが、このブログは「若手経営者」のために書いているので「プライベートな孤独」ではなく「ビジネス上の孤独」に限って整理します。
経営者は孤独から解放されることはない
あくまでも私見ですが、私は「経営者は孤独から解放されることはない」と思っています。
多くの仲間や社員たちと一緒に仕事し、喜びを分かち合い、たとえば「打ち上げ」なんかで騒いでいるとき、それなりの幸福感を感じ、孤独から解放されたような気持になります。しかし、一人に戻ると、また孤独に引き戻されてしまいます。
私は、オーナー経営者の「宿命」と思っています。「宿命」とは「前世から決まってた」というような意味らしいですが、それくらい「避けられない」「変えられない」ものだと思います。「孤独」は「経営者になる」と選択した時点でセットなのです。
仲間の経営者や、コーチをしている若手経営者には「そんなに孤独が辛いなら社長を辞めるしかないよ。セットだから。」と冷たく言い放つこともあります。
私は、独立して間もない30歳の頃、落ち込んでいるときに、ある友人から忠告されたことを今でも鮮明に覚えています。
「堀井、孤高になれ!」
今、思い出しても「名言」と思います。30歳そこそこの若造の言葉とは思えないくらい「本質」を突いています。ちなみに「孤高」とはウィキペディアには、次のように説明してある。
孤高とは、個人の社会生活における1つの態度を表し、ある種の信念や美学に基づいて、集団に属さず他者と離れることで必要以上の苦労を1人で負うような人の中長期的な行動とその様態の全般を指す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A4%E9%AB%98
この説明を私なりに解釈し、言い換えると
孤高とは、経営者のひとつの態度を表し、自分の信念や美学に基づいて、他者に頼ることなく、全責任を1人で負う覚悟を持って、思考し、行動する様態を指す。
です。
この「孤高」は、究極の「孤独」だと思います。つまり「孤高」になることで「孤独」から解放されるどころか、ますます「孤独」になりますが友人の「堀井、孤高になれ!」というアドバイスは、それを受け入れ、覚悟することができた瞬間でした。
言い換えれば「結果として孤独になってしまった」のではなく、「自ら孤独を目指す=孤高」という心の持ち方です。
ビジネス上の孤独は「支持率の低さ」が原因
私は前述したように「孤独」は「独りぼっちで心寂しい状態」だと定義していますが、この「心寂しさ」は、ビジネスに限れば「支持率が低い状態」だと思っています。
経営者は、規模の大小はあっても「組織のトップリーダー」です。この「組織」には、社内=社員達以外にも、外注先などのビジネスパートナーも含みます。
トップリーダーは、目指すゴールを設定し、その実現のために社内外に指示・命令・依頼する立場ですが、このときに「社内外の支持率」が「経営者の孤独」に大きく影響します。
指示・命令・依頼が正しく伝わり、その結果、自分の要望や意図に従って正しく実行されるかどうか?
社内外の支持率が高い経営者なら、その実行レベルのストレスは大きくありません。しかし、支持率が低い経営者の場合は、その実行レベルに大きなストレスを感じることが少なくありません。
「違うだろ!」「何度言わせるんだ!」「言ったとおりにやれよ!」と益々悪循環に陥る悲しいフレーズで威圧しなければ実行されない、という場面を見ること、また、その愚痴を聞かされることがしばしばです。
挙句の果て「自分の支持率」を顧みることなく、社員やビジネスパートナーのスキルに問題がある、と勘違いが続くことで益々支持率が低下し、その経営者から人が離れていく・・・。
その結果、強烈な孤独感に襲われることになるのです。
少々「大げさ」に書きましたが、少なからず「心当たり」はあるのでは?
孤独を軽減することは可能だ
もうお気付きだと思います。「孤独」から「解放」されることはありませんが「軽減」することは可能です。
その通り・・・「支持率」を上げればいいのです。
私は、孤独な経営者には「支持率を上げるために経営者の社会力を見直すこと!」とアドバイスすることにしています。「支持率」が低い経営者を観察していると「社会力」が低いことが原因であることが多いからです。
「経営者の社会力」とは「社会から認められ、期待を集めるチカラ」ですが、この定義に沿って表現すると「社会力」が低いというのは「社会の期待が低い状態」です。「どうせ、あの経営者には期待できない」という何とも厳しく寂しいフレーズです。つまり、周りから見たその経営者は「支持できない」のです。
(参考記事)
「経営者の社会力」社会から認められ、期待を集めるチカラ
どうすればよいか?
- 社会の一員としての自覚を自問自答し、改める
- 社会貢献の意欲や使命観を自問自答し、改める
- 社会の秩序を乱さないという道徳観や倫理観を見直し、改める
です。
経営者でなくても「自分ファースト」な人は、善良な他者に支持されることは期待できません。せいぜい「類とも」で「自分ファーストな人たちの集団」を形成することになります(が、彼らは私の仕事の対象ではありません:笑)。
説明の都合上、少々「大げさ」に書いていますが「孤独な経営者」は大なり小なり「支持率」に課題を抱えていることには大差はありません。
- どうすれば、社員の支持率を上げることができるか?
- どうすれば、ビジネスパートナーの支持率をあげることができるか?
- どうすれば、協力者や応援者を増やすことができるか?
これらを自問自答し「考え方」を改め「行動」を変えることで「結果」として支持率が回復すれば、それに応じて「孤独感」は軽減されます。
決して「孤独」から完全に解放されることはありませんが、周りの人達から支持され、期待され、応援されることで、大きく軽減することができます。
まとめ
「経営者の孤独」について、私の考えていることを整理してみました。賛否両論はあるかもしれません。また、いずれ私の考え方が変わってこの記事を書き換えることがあるかもしれません。しかし、現段階で私が考えていることであり、この考え方に基づいて、日常のマネジメントコーチの仕事をしているので書き留めてみました。
結論は「支持率を改善して、孤独感を軽減する」です。「孤独」を「他責」にしている間は軽減されることはありません。むしろ、益々孤独感が増します。孤独の原因を「自責」に求め「考え方」と「行動」を変えることで「結果」は変わります。