【管理会計】ワンランク上の経営を実現するための5つのステップ

経営改善のためには、利益を正確に把握しなければならないが、この記事では、中小企業が管理会計を活用して利益を正確に把握するための5つのステップを詳しく解説する。

いきなりであるが、断言しよう!

管理会計を活用すると
収益構造がよく見えるようになり
経営のレベルが飛躍的に上がる

私は、1999年の税理士事務所創業以来、現在に至るまで20年以上にわたってお客様には「普通の試算表」とともに「マーカス・レポート」と称する「管理会計によるレポート」を提供してきた。

もちろん、この20年の間に様々な紆余曲折と試行錯誤があり、バージョンアップを重ねてきたが、その想いは「経営者に自社の経営状況を正しく把握して欲しい」に尽きる。

その実務の現場で得た確信なので、いきなり「断言」したのだ。この記事では実際に現場で使っている「マーカス・レポート」を軸に「経営者のための管理会計」を紹介しよう。「数字に強くなりたい」「経営をワンランク上げたい」と思っている経営者の皆さんのお役に立てば幸いだ。

「管理会計」とは?

念のため、ますは基本的なことから確認しておこう。

あなたが日常から目にしている試算表や決算書のベースになっている「財務会計」と「管理会計」の主な違いは下記。

財務会計管理会計
目的金融機関や税務当局などへの
外部公表
経営管理
ルール公のルールがある自由
主な帳票試算表・決算書独自に作成したフォーマット
処理方法市販されている会計ソフト多くはエクセルで独自に作成

「試算表」や「決算書」は、金融機関や税務署など「外部」に結果報告することが目的なので、公のルールである「財務会計」のルールに従って作成されている。なので「財務会計」は、「税務会計」と合わせて「制度会計」とも言われている。

この「財務会計」の目的が「外部公表」なので、そのフォーマットは、残念ながら経営の当事者である経営者の視点ではなく、経営に必要な情報が得にくいフォーマットになっている。興味を持ってくれない経営者が多いのも仕方がないと思う。

それに対して「管理会計」は「自由」なので、必要な経営情報を得るために、様々なアレンジが可能である。当社の「マーカス・レポート」は、中小企業経営者に経営実態を正しく把握してもらうためのアレンジを施した「管理会計」の一種であり「マネジメント会計MMA : MARCAS Management Accounting)」とネーミングしている。

このマネジメント会計のフォーマットは、下記の記事で詳細を紹介しているので併せて参考にしてほしい。

管理会計を活用するメリット

管理会計(=マネジメント会計)を活用するメリットの主なものは下記のとおりである。

  • 真の収益力(付加価値創造力)
    節税など様々な調整が入ってるのが中小企業の数字。それを区別し「実力」を可視化。
  • 損益分岐点
    当社の収益力って強いの?弱いの?
  • 収支分岐点
    キャッシュフローの分岐点利益はいくらか?
  • 労働分配率
    社員への分配である給与賞与は、利益に対して多いのか?少ないのか?生産性は良いのか?悪いのか?
  • 経営分配率
    経営者の給与「役員報酬」の適正額は?
    経営者は報酬を取りすぎていないか?
  • 清算価値(真の内部留保)
    いま廃業すれば、どれだけキャッシュが残るのか?
  • 予算管理
    目標に対して、実績はどうなのか?

これらは時間や手間をかければ得られる数字ばかりであるが、これらを「毎月スピーディーに!」ということになると、なかなか面倒である。

「経営上の重要データ」であるにも関わらず、面倒ゆえ先送りされたり、放置されてしまっている。

自社の経営のために、
リアルタイム(月次)で、
経営状態や経営課題を「正確に」知りたいですか?

このようにオファーすると、多くの経営者からは「当然、知りたい」と回答が返ってくるので、下記のようなステップでサポートしている。

管理会計、5つの導入ステップ

「管理会計」は「財務会計」にとって代わるものではない。税務申告や金融機関への報告などのために「財務会計」は必要である。

また、「財務会計」と別に処理する、という「二度手間」もかけられないので、実務的には「財務会計」のデータを「管理会計」に変換する、という方法で進める。

Step_1:勘定科目を管理会計用に全面見直し

最初に取り掛かるのは「勘定科目の全面見直し」である。多くは「財務会計用の勘定科目」なので、これを「管理会計用の勘定科目」に見直す必要がある。

この「管理会計用」というのは「経営者用」のことなので制約はない。経営者が「知りたい数字」「知りたい情報」が得られるように自由に決めればよい。

例えば、下記のような質問をしながら設計している。

  • 旅費交通費
    経営者感覚では「人件費」である通勤交通費が混在しているけど、このままでいい?

    「通勤交通費」を新設しよう
  • 通信費
    郵便も携帯電話もサーバーも含まれてる。年賀状とサーバーって同じでいいの?

    「文書通信費」「インターネット通信費」「その他通信費」に分けよう
  • 福利厚生費
    社員の慰労コストに混じって節税目的の生命保険料が含まれているけど、これでいいの?

    「役員生命保険料」を新設しよう
  • 外注費
    製品加工の外注費も、記帳代行の事務外注費も一緒になってるけど、おかしくない?

    「外注加工費」と「事務外注費」に分けよう
  • 支払手数料
    銀行の手数料も、税理士や弁護士の顧問料も一緒になってるけど、これでいい?

    「銀行手数料」「専門家報酬」「その他手数料」に分けよう

というような具合だ。

経営者感覚では「違和感」を感じるような会計処理が「伝統的」に行われていることが少なくない。「通信費」なんて典型例だ。まだこの世に携帯電話もインターネットも無い時代のルールが今も「伝統的」に生きている。多くの経理担当者は違和感を感じることなく処理している。経営者も「ふ~ん、そうなんだ・・・」と理解できないまま諦めている。

「管理会計」の導入にあたって、まずは経営者自身が勘定科目名の「違和感」を無くし「納得感」が得られるまで、細かく整理する必要がある。

そのために、私は「総勘定元帳」を1年分でいいので「熟読」することをお勧めしている。勘定科目の決定が経理担当者や会計事務所に任せっきりになっているなら、絶対に「経営者の目」でチェックしてみてほしい。多くの「違和感」が発見できるはずだ。

勘定科目が「財務会計」のままでは「管理会計」は導入できないので「全面見直し」が必要になるのだ。

Step_2:面倒でも今期のデータを再処理

次のステップは少々面倒な仕事だ。

勘定科目を管理会計用に見直したので、過去のデータを修正する必要があるのだ。決算が近いので「管理会計を導入するのは来期から」でももちろんOKであるが、まだ今期が2~3カ月しか経過していない、という場合は面倒でも科目修正の処理をしなければならない。

例えば・・・「通勤交通費」を新設したならば「旅費交通費として処理していた通勤交通費を過去にさかのぼって抜き出して、科目を新設した通勤交通費に修正する」という具合だ。(会計ソフトの中には「置き換え機能」がついているものもあるので、最近は楽にできることも増えた。)

Step_3:管理会計に変換するためのエクセルシートを作成する

さて、勘定科目を見直し、過去データも修正した。しかし、この段階では、まだ「財務会計のフォーマット」しかアウトプットできない。

次は、いよいよ「管理会計のフォーマット」をエクセルで「自作」する。

実務的には「sheet 1」に、会計ソフトからエクスポートしたCSVファイルを丸ごと読み込む表を作成し「sheet 2」に管理会計のフォーマットを作成し、読み込んだ「sheet 1」のデータを変換するように作成する。

Step_4:経営感覚にフィットするかの確認

上記1~3のステップで、手元には「管理会計のフォーマットに変換された損益計算書(=「経営損益計算書」とネーミングしている)」がある。

まだ、この段階では「違和感」が残ることが多い。慣れていないからである。

私の経験上、6か月くらい継続すると、いろいろ見えてくるはずだ。

「これって、固定費じゃないな~」
「もっと細かく科目を分けた方がいいな~」
「**の売上比率も確認したいな~」

など、どんどんリクエストが出てくるのだ。それらを一つ一つ反映するようにフォーマットをアレンジをする。このようなことを数回繰り返せば必ず「経営感覚にフィットしたオリジナルのフォーマット」が得られる。

Step_5:自ら決算の予想をしてみる

「決算予想」は、顧問税理士がサービスとして提供してくれていると思うが、それを聞いて「ふ~ん、そうなんだ・・・」と、どこかしっくりしなくても「先生、ありがとうございます・・・。」って終わってないだろうか?

管理会計で数字を把握できるようになれば「今までの流れだと、この先は、こうなるな!」と近未来が見えてくるはずだ。経営者が、自分自身で決算予想ができるようになれば、もう、管理会計は手放せない「当たり前のツール」になるだろう。

まとめ

以上、ワンランク上の経営を実現するため「管理会計(=マネジメント会計)」の導入ステップを紹介した。

  • Step_1:勘定科目を管理会計用に全面見直し
  • Step_2:面倒でも今期のデータを再処理
  • Step_3:管理会計に変換するためのエクセルシートを作成する
  • Step_4:経営感覚にフィットするかの確認
  • Step_5:自ら決算の予想をしてみる

しかし・・・手のひらを反すようだが・・・

実は「管理会計」は無くても大丈夫だ(汗)。

「???」

なぜなら「管理会計」は「手段」だからだ。「目的」は、経営者が、数字に強くなって、自社の経営状態を正しく把握できるようになるのであれば、その方法はなんだっていい。もし「試算表」や「決算書」で経営状態を「正しく」把握できているのであれば「管理会計」という余分な手間をかける必要はない。

ただ、私の経験上「管理会計」を知ってしまった経営者は、もう離れられなくなる。確実に「数字に強い経営者」にスキルアップしてくれる。そして、経営相談の内容が変わってくる。「的を射る相談」に変わっていくのだ。経営課題を正しく把握しているから、相談が的確になっていくのだ。私が手応えを感じる瞬間である。

そんな経営の現場での体験から、若い経営者には「絶対、管理会計にしなさい!」ってアドバイス(命令?)することにしている。

お役に立ちますように!

堀井弘三
堀井弘三

「管理会計」がしたくなったらいつでも気軽に連絡ください。2~3か月でフォーマットが決まり、その後からは月次で経営チェックができるようにサポートします!

ちなみに「管理会計」をサービスに追加したい、と思ってる若手税理士もにノウハウ伝授しますよ。(ただし・・・関西エリアは後輩達と競合するのでその他エリアに限定・・・すいません)