あなたの経営は、すでに「失敗」してるのかもしれない

会社経営は、苦しくて辛くてしんどいものなのだろうか?

そんなはずはない。

特に創業者の場合、苦労を覚悟したかもしれないが、それはプロセスへの覚悟であって、結果へのコミットではない。苦労をしたいから、それを目的に起業したとすれば、それは極めてレアな少数派の意見だろう。

ところが、確かに苦労の覚悟はしたものの、それが長く続いていて悪いストレスになっているのであれば、改めて「なぜ、苦労は続くのだろう?」ということについてよく考えた方がよい。

なぜなら、あなたの経営は、すでに失敗しているかもしれないからだ。

プロセスと思っていた苦労が、実は、経営の結果となっているとすれば、その苦労は永遠に終わらない。

【苦労】と書いて【やりがい】と読む???

ある経営者の言葉が心に残っている。

「堀井さん、ボクは【苦労】と書いて【やりがい】と読むんです。【くろう】なんて思ってないです。」

夜も寝られないくらい悩んだり、ヒヤヒヤする場面で命が縮まる思いをしたりすることがあっても、それは「目指しているものを手に入れるためのプロセスだと思ってるからです。」と彼は話してくれた。

そのときは「いいこと言うな~」と感心した。「偉いな~」とも思った。

でも、よくよく冷静に考えてみれば、この話、ふたつの捉え方がある。

ひとつめは「善意の解釈」。

ゴールにたどり着くため様々な経営課題と向き合い、日々奮闘して頑張ってるんや。そして、その「手応え」を感じているから苦労が「よいストレス」となって、それを「やりがい」って感じてるんやな、という解釈=善意。

もうひとつは「悪意の解釈」。

出口の見えないトンネルの中で「手応え」が無いのに「いつかいいことがあるはずだ!」「成功するまで続ければ失敗じゃない!」など、もがいている。もはや、その苦労は「悪いストレス」になっているのに感じない、いや、感じようとしない?いや、感じてないと自分に言い聞かせて?悪循環の日々を過ごしているんやな、たぶん、という解釈=悪意。

「失敗」してないのであれば、毎日が楽しいはず

ボクも小さいながら自分の会社を経営したり、また、複数の会社の取締役などの経験をしたなかで、会社経営って難しいなあ、しんどいなあ、辛いなあ、と何度も思った。いまでも、クライアントの経営をそばで見ながら「やっぱり、経営者って大変やなあ・・・」と思うことも少なくない。

でも、反対に「よっしゃ~!」と思わず叫んでしまうような達成感や満足感、あるいは、高揚感を感じることもあり、そんなときは「これまでの苦労は吹っ飛んだ!」と思ったし、「これやから会社経営はやめられまへんな~」と大笑いしたこともある。

ここで大切なのは前述した「善意の解釈」なのかどうか?である。

日々感じる苦労が「着実にゴールに近づいている」という手応えがあるかどうか?である。この手応えというのは「プラスを積み上げる課題解決」の手応えである。顧客を増やすための苦労、品質を上げるための苦労、新製品や新サービスをリリースする苦労など、いわば「産みの苦しみ」である。この苦労はしんどくない。むしろ楽しい。だから「やりがい」と感じることができる。

反対に「マイナスを埋める課題解決」は、ホントにしんどい。顧客離れを防ぐ苦労、クレーム対応の苦労、従業員トラブルの苦労、そして、お金の苦労。ふつうの感覚では楽しくない。もちろん、このような苦労は会社経営につきもので、避けては通れない苦労ではあるが、これらは「産みの苦しみ」より優先して解決しなければならない課題である。だから「マイナスを埋める課題解決」に多くの時間を取られ「産みの苦しみ」をする余裕すらない状態は、繰り返すが、まったく楽しくない。

このように、経営者が「しんどい」と感じる負荷、つまり「経営課題の解決」には、このふたつがある。「プラスを積み上げる課題解決」と「マイナスを埋める課題解決」だ。

もし、会社経営が順調に進んでいるのであれば、前者の「プラス~」が「マイナス~」より多い。「マイナス~」の方が多ければ、それは順調ではなく、あえて「失敗」している、と考えた方がよい、と思っている。もし「失敗」してないのであれば、毎日が楽しいはずだ。

「失敗」したのはなぜか?

ふりかえってみて「マイナスを埋める課題解決」の方が多くて、しんどいなあ・・・と思っているとすれば(もちろん)「失敗」と確定的に断言できるわけではないが「ひょっとしたら失敗してるかもしれない」いや「すでに失敗しているのだ」という前提で「失敗したのはなぜか?」ということを熟考した方がよい。

そのとき、つまり「失敗」を考える際に大切なのは、「失敗」の反対の「成功」、そもそも「成功とはなんや?」を明確にすることだ。

この「成功」とは、ひとそれぞれに定義があり「これが成功だ」という唯一の答えはない。

  • 年商をどんどん増やし、従業員もどんどん増やし、形式的に大きく拡大することが成功
  • 日本に留まらず世界各国に進出することが成功
  • IPOして時価総額をどんどん増やすのが成功

という拡大路線の成功感もあれば、

  • 地域密着に徹し、地元になくてはならない存在になることが成功
  • 路地裏の名店のように、限定的な供給量で予約が取れない存在になることが成功

という何かにフォーカスするという成功感もあるだろう。

ただ、ここでは、あえてボクの「成功感」で話を進めたいと思う。(この「成功感」に違和感を感じるならば、ここで読むのをやめて別のサイトに行ってもらってよい w)

ボクの成功感、つまり「成功している会社経営」は、「不幸者を作らない会社経営」である。むかしから伝わる近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」に通ずる考え方で、ボクは「3G経営=3G BEST」と命名している。

3Gとは、3つのグループのことで、

  • お客様や仕入れ先、外注先などの取引先のグループ
  • 社員とその家族、その人たちにとっての大切な人々のグループ
  • 経営者自身とその家族、その人たちにとっての大切な人々のグループ

この3つのグループの人々が、あなたが経営する会社と「相互満足」「相互感謝」の関係性が築けるような状態を持続することが「成功」だと思っている。

会社経営の本質的な目的

どれだけ会社の業績がよく、拡大を続けていても、その裏で、取引先や従業員に迷惑を掛けていたり、経営者自身の家族に不必要な負担や苦労を強いているとすれば、その経営は「失敗」だという考え方だ。

もちろん、3Gの人たちに「必要な一時的な負担」をかけることはあるし、それなくして成功にはたどり着けないだろう。

しかし、3Gの人たちの犠牲が前提になっているようなビジネスモデルだとすれば、それは「失敗」なのだ。

それは、クレームや従業員トラブル、家族不和など、様々な形で経営者の行方を阻む。これが「マイナスを埋める課題解決」となって「楽しくない日々」に繋がる、という考え方、いや、現実だ。

「失敗したのはなぜか?」を考える際、「経営戦略」や「ノウハウ」や「経営スキル」より先に、まずは、この3G BESTの考え方にそって「なぜか?」を考えてみてほしい。

「失敗しない経営」のために課題を言語化する

前述の「3G BEST」の考え方にそって考えると、

  • お客様・取引先は、当社と取引をして満足してくれているか?お互いに感謝し合える関係を築けているか?
  • 従業員は、当社で働くことに満足してくれているか?それを彼らの家族は理解し、応援してくれているか?
  • あなたの家族や大切な人たちは、あなたの会社経営を認め、快く応援、支援、協力してくれているか?

ということについて「自問自答」することになる。

これらについて、ひとつでも「NO」があれば、それが最優先に解決すべき経営課題である。

  • なぜ、お客様や取引先は満足してくれてないのだろう?
  • なぜ、お客様や取引先と感謝し合える関係になってないのだろう?
  • なぜ、従業員は不満を抱えているのだろう?
  • なぜ、自分の家族や大切な人たちは、応援、支援、協力してくれないのだろう?

これらについて「手書きのノート」にランダムに、殴り書きでもいいから書き出してみよう。そこで必要な心のあり方は「謙虚に素直な気持ちで不都合なことも含めすべてを書き出すことができるか?」である。

もし、3Gの人たちと相互感謝、相互満足の関係になってない、あるいは希薄である原因や理由に「心当たりがない」とすれば、あなたのことを客観的に見てくれる親友や家族といっしょに取り組むことも効果的なので試してみてほしい。

あと、念のために書き加えておくと「会社で起きるすべての現象の原因は経営者にある」ということである。取引先にも従業員にも、そして、あなたの家族にも非はない。「自分は悪くない、悪いのは・・・」という考え方が頭にあるなら、それが最優先に改めなるべき、あなたの「悪い考え方」である。

「失敗からの回復」課題を解決するための正しい計画

「課題」が抽出できれば、もう8割は解決したようなものだ。

  • お客様や取引先の満足度を改善する具体的なアクション
  • 従業員満足度を改善するための具体的なアクション
  • 自分の大切な人たちに満足してもらうための具体的なアクション

これらを「スケジュール」に落とし込んで、実行あるのみである。

具体的な計画の立て方、達成の仕方は「経営者の達成力」を参考にしてほしい。

まとめ:経営の目的を再考する

以上、経営の根本的な話として「成功」と「失敗」をまとめてみた。

ボクは「不幸者を作らない経営」が正しいと思っている。とはいえ、現実は誰かに一時的な迷惑を掛けることはあるし、それなくして会社経営を成功させることはできないだろう。しかし、それに甘えて、いつか、それが前提になってしまったなら「経営者の幸福」はない。仕入れ先や外注先、そして、社員や、家族、この人たちの犠牲の上での「社長業」になっていないか、改めて内観するきっかけになれば幸いである。

お役にたちますように!