「残業したい!」という社員をどうするか?

  • 「残業」は「悪」なんだろうか?
  • 「残業したい!」という社員にも「早く帰りなさい!」と促すべきなんだろうか?

ある経営者とのコーチングセッションで「残業」についてディスカッションをしたのでその記録をしておきたいと思う。

*お断り:この記事は「解決策」を提示するものではない。私の「モヤモヤ」の記録だ。「解決策」を求めておられるならお役に立てない記事なのであらかじめご了承いただきたい。

2つの残業

「残業」には、2つある。

  • 「量」をこなすための残業
  • 「質」を上げるための残業

話の都合上「1個あたりの標準作業時間1時間」という簡単な作業例で示そう。

「量」をこなすための残業というのは、1日10個作らなければならない、という場合の残業だ。標準的なスキルを持った社員でも10時間かかるので、定時が8時間とすると2時間の残業になる。

「質」を上げるための残業というのは、まだ熟練していない社員が1個当たり2時間を要するような場合だ。この社員に「5個」を割り当てても10時間かかり、同じように2時間の残業になる。

いずれも残業を解消するなら、個数制限するか、または他者が手伝えば解消できるが、それに伴う納期遅延や追加コストなどのリバウンドは受け入れざるを得ない。

「質」を上げるための残業

今回のセッションは、後者「質」の残業についてだった。

熟練していない社員は、標準が1時間のところ2時間かかってしまうが、この社員が「早く一人前になりたいから残業させてほしい」という申し出があったというのだ。おまけに「自分のわがままなので残業手当は辞退する」とまで言う。

経営者目線で見ると「なんて素晴らしいモチベーションなんだ!」と思う。私なら「残業手当は支給するので思う存分残業しなさい!」と即答するだろう。しかし、労務管理上「よくない」という意見もある。この社員が「根性」で残業して、結果、体を壊したらどうする?なんて意見もある。悩ましい。

若い頃を思い出した

私は26歳の時に「税理士業界」に入った。まだ資格もなく「ずぶの素人」だった。今回の社員さんと同様「早く一人前」になりたかったので、毎日終電近くまで残業し、休日出勤も珍しくなかった。とにかく、たくさんの量を経験したかった。

当時、税理士事務所では一人前になるには4~5年の経験が必要と言われていたが「人の倍の量をこなせば2~3年で一人前になれる!」と、受験勉強も両立しながら無茶苦茶仕事した・・・ということを思い出した。

いま振り返って、後悔どころか「若い時に残業や休日出勤による自己投資を思う存分できた」ことをよかったと思うし、それを認めてくれた当時のボスにも心から感謝している。おかげで28歳、実務経験2年で「堀井弘三税理士事務所」として独立開業することができた。

もう30年も前の話だ。その後も「24時間働けますか~!?」という健康ドリンクのCMが、何の違和感もなくTVで流れてたような時代だ。

それを懐かしく回顧しているのではない。時代を現在に戻せば「昭和方式」は通用しなくなり「人材育成」の方法を考えざるを得ない、と深く悩む。私も「たまたま体を壊さなかった」だけで、万が一それで不調をきたしていれば「違う思い出話」になってた可能性もある。

そんなディスカッションをした。

煮え切らない結論

結論は何?

「1日2時間までの残業を認め、残業手当も支給しよう」という、何とも煮え切らない結論となった。

「働き方改革」。厚労省の定義は「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。」ということらしい。この解釈には様々あるようだが、その真意は「生産性改善」のはずだと私は思う。しかし、どうも「作業量削減」という「誤解」をしている人が多いのでは?と気になる。

また、「生産性改善」のためには「プロセス改善」や「自動化・無人化」もあるが「人の習熟度」も小さくないはずだ。この「人の習熟度」は「仕事量」に比例する。たくさんの経験を積むことで熟練していく。たくさんの経験を積むためには時間が必要であり、少しでも早く熟練するには1日当たりの経験量を増やすしかない。

本音は「何時間でも思う存分やればよい」であるが、そういう訳にはいかない、ということでモヤモヤした「2時間制限」となった。

「まとめ」にならない「まとめ・・・」

「残業したい!」という社員をどうするか?のセッションの記録として書いた。

若い時には残業や休日なんて気にすることなく「経験量を増やすこと」が成長を早めること、と思っている。そして「1日も早く一人前になる」ということの方が人生は豊かになると思うが、私は「古い」のだろうか・・・。

解決策の提示もせず、モヤモヤした記事で申し訳ない。