ちっぽけな意地や見栄、プライドが邪魔をして損をしてるなあ、と感じることはないだろうか?
その原因は、経営者としての「素直力」の不足かもしれない。
「想い通り経営」に必要な「経営者の心技体」。ここでは「心」の中の大切な一つ「経営者の素直力」について、その大切さと、改善のヒントを紹介しよう。
この記事のポイント!
「素直力」が足りない経営者に起きる3つの不都合なこと
「相手が言ってることも一理あるな・・・」とか「自分は間違ってるな・・・」とか「ホントはもっと仲良くしたいな・・・」とか、心の中では分かっているのに、反論してみたり、非を認められなかったり、照れくさいのかツッケンドンな態度を示してみたりする自分。そんな意地を張ったところで何の得もないことを分かっているはずなのに、だ。
「心技体」の「心」、その中の大切な一つである「素直力」が足りない経営者。
「可愛げ」があれば周りも微笑んでくれるかもしれないが、多くの場合は「うちの社長、素直じゃないな・・・」と裏で溜息をつかれているものだ。意地を張ることで「威厳を演出しているつもり」という症状の重い経営者までいる。
「素直力」は「意地や見栄やプライドにとらわれることなく相手を受け入れる大きな器のチカラ」と定義している。この「素直力」が足りない経営者には、次のような不都合が現象として現れることが多い。
社員の報連相が少なくて困っている
どこの職場でもよくある「あの件、どうなった?」「進み具合はどう?」というフレーズ。こちらから聞かないと情報収集ができずにイライラしてる経営者。社員の報連相が少ない理由は様々あるが、その原因が経営者の「素直力」ということが少なくない。「どうせ報連相しても、また余計な一言を言われるだけだし・・・黙っておこう」というようなケースだ。
会議はいつも社長の独演会
会議で誰も進んで発言しないから終わってみたら、経営者の独演会だった、というようなケース。なぜ、社員たちは発言しないのか?
「素直力」が不足している経営者は相手を認め、受け入れる心が狭い。自分と違う意見に対して「なるほど、そういう考え方もあるな」ではなく、その発言を途中で遮るように「私は、そう思わない」「君は分かっていない」「君は間違ってる!」と頭ごなしに反応してしまうので、どんどん周りの発言意欲を失っているのだ。
自分の理解者として安心できるのは側近の社員だけだ
側近は、本当の理解者だろうか?あなたの話に上手に合わせているだけということはないだろうか?「素直力」が不足している経営者は「YESマンを側近に置く」という傾向が強い。心情的には分かる。いちいち耳の痛い苦言を呈してくれる人より、もみ手をしながら「さすが社長!」って持ち上げてくれる人と一緒にいる方が心地いいから。
あなたは大丈夫だろうか?
器の大きな経営者に学ぶ「素直力」、3つの大切な視点
「素直力」が強い経営者には共通点がある。そのキーワードは「謙虚」「柔軟」「寛大」の3つ。もし「素直力」に課題を感じるのであれば、是非、この3つの視点について自問自答してみてほしい。
常に謙虚な経営者
まず最初は「謙虚」。「謙虚」とは「自分を偉いものと思わず、他に学ぶ姿勢」のことだ。
時々「俺様は社長だ!」「他の人たちとは違うんだ!」なんてオーラを出している経営者に出会うことがあるが、はっきり言ってカッコ悪い。
経営者が、謙虚さを失うと「どうせ、反論されるからあの人に言っても無駄だ」「自分が正しいと思い込んでるから、聞いてくれないよ」と周りはあきらめ始める。つまり「情報源」が細くなっていくのだ。ついには、自分にとって都合の良い情報しか入ってこなくなる。
それに対し「素直力」の強い経営者は、変な知ったかぶりなどはせず、わからないことや、疑問に思ったことは、相手が誰であろうと「教えて!」と質問することができる。
また、自分が間違っていることに気付いたら、言い訳などせず、すぐに「ごめん!」と謝ることができる。
このように、謙虚な姿勢で「教えて!」と言える人、「ごめんなさい!」と言える人は好感度が高く、周りのサポートも多くなるので、常に新鮮な情報が入ってくるようにもなる。
「素直力」が強い経営者には「常に謙虚」という共通点がある。
考え方が柔軟な経営者
2つ目のキーワードは「柔軟」。心のどこかで「自分は間違ってない!」と思い込んでいないだろうか?この思い込みがあると、せっかく大切な情報が入ってきても、スルーしたり、突き返したりしがちだ。同様に「過去の成功体験」を引きずっている人も、この「柔軟性」を失っていることが少なくない。
この記事を読んでくれている若い経営者には該当しないと思うが、年配の経営者にありがちな症状だ。その人たちが口を揃えて言うのが「最近の若い奴はおかしい」という、自分の物差しで違う世代の人たちを評価する、という場面。
柔軟性を持っている経営者なら「なるほど、最近の若い人たちは、そんな物差しで考えるんだ」と、いったん自分の物差しは横に置いて相手の物差しを理解しようと努力する。だから、「今という時代」に適応できるのだ。
「素直力」が強い経営者には「考え方が柔軟」という共通点がある。
器の大きさを感じる寛大さ
そして3つ目のキーワードは「寛大」である。
「寛大」とは、簡単に言うと「心が広いこと」だ。人にはそれぞれの考え方があり、それが一致することもあれば、対立することもある。「寛大」でなければ、つまり、心が狭ければ違う考え方を持った人に対して「この人は考え方が間違ってる」と感じてしまう。しかし「素直力」が高い経営者は「そういう考え方もあるのか」と、違う考え方をまずは理解するマインドを持っているのだ。
「あなたの考え方は間違っている」と言い争うところには何も生まれない。お互いが双方の考え方を「選択肢」として理解し合うことが建設的なディスカッションのスタートラインだ。「自分の考え方・意見とは、違うけれど、あなたの考え方・意見は理解できる」という、受け入れる器がリーダーには大切なのだ。
「素直力」が強い経営者には「器の大きさを感じる寛大な心」という共通点がある。
以上のように「素直力」が強く器の大きな経営者は「変な壁」がないので、多くの支持者、協力者が集まり、応援してくれる人たちに囲まれている。
さて、あなたは大丈夫だろうか?
経営者として「素直であること」の幸福
改めて、経営者として「素直であること」の幸福を考えてみよう。「経営者の素直力が強い」とはどういう状態なのか?
- 経営が順調な時も、そうでないときも常に謙虚な姿勢で
- 自分の知識、経験に固執することなく柔軟に考え、行動し、
- 異なる意見も選択肢として受け入れる器の大きな経営者
- その言動によって多くの支持者、協力者、応援者に囲まれながら会社を経営している状態
本質は、このように「多くの支持者、協力者、応援者に囲まれること」を「幸福」と感じる「心」を持っているか?である。これを「理想論」や「建前論」と感じてしまうならば残念ながら「想い通り経営」は実現できない。
「経営者の素直力」、「想い通り経営」に不可欠な「心」を高めるためのとても大切なチカラの一つである。
「素直力」を強くするために「心」をトレーニングする方法
さて、ここまで読んで「心が痛い」と感じたら、つまり「自分には素直力が不足しているな」という自覚症状があれば早速トレーニングをしよう。
このブログで何度も出てくる「結果=考え方×行動」の方程式。つまり、今の不都合な結果を望む結果に変えるために「考え方=思考習慣」を変えるトレーニングだ。
心技体の「心」は、スキルではなく「あなたの価値観」に近いものなので、生い立ち、環境、経験、性格などが色濃く反映している。そういう意味で、そんなに簡単に変えられるものではないと思う。
さて、分かれ道だ。
- 「考え方を変えて結果を変えるか?」
- 「あきらめて、成り行きに任せるか?」
「考え方を変える」ための一番の原動力は「結果を変えたい」という「想い」の強さである。まずは、方法論の前に、この心構えを自問自答してみてほしい。「よし!結果を変えるために、考え方を変えるぞ!」と決意できるならば、是非、次のトレーニングを試してみよう。
STEP1:理解
「心」を変えるための最初の段階は「理解すること」である。「素直力」の重要性を理解できたか?を確認しよう。
STEP2:納得・賛同
次は「納得・賛同」の段階。「素直力が大切だ」と本心で納得・賛同しているだろうか?当然であるが、納得や賛同ができない考え方には変えられない。
STEP3:行動
「理解」でき「納得・賛同」できたなら「行動」あるのみ、である。最初は「変えなければならない」という、MUSTの気持ちが強いと思うが、このMUSTが「変えたい!」というWANTの気持ちに変われば、それがゴールだ。「欲望」に変われば、あとは自然にこの考え方が当たり前になっていく。そこまでは「反復練習」あるのみ。
STEP4:行動を習慣に変える反復トレーニング
「手書きのノート」を用意して・・
- 今日一日を振り返って「謙虚じゃなかったな」「柔軟じゃなかったな」「器の小さいことをしてしまったな」と思うこと
- それによって、困らせたり、気分を悪くさせてしまった人の気持ち
これを毎日書き出すことを「日課」にする。これを継続すれば、必ず、素直力は高まっていく。
まとめ
以上、経営者の素直力「意地や見栄やプライドにとらわれることなく相手を受け入れる大きな器のチカラ」を紹介した。大切な視点は「謙虚」「柔軟」「寛大」である。
「想い通り経営」を実現するための「経営者の心技体」の中でも、特に大切な「心」のチカラである。経営者の「考え方」が変われば「行動」が変わり、会社経営はあなたが望む「結果」に変わる。是非、参考にしてみてほしい。
お役に立ちますように!