【会社の換金価値】いま廃業したらどれだけのキャッシュが残るか?

「会社の換金価値、つまり、いま廃業したらどれだけのキャッシュが残るのか?」を正しく把握できている経営者は少数派だ。

決算書を手にした多くの経営者の関心事は「利益と税金」であり「いくら利益出た?」「どれだけ税金を払わないといけないの?」を「損益計算書」で確認すればおしまい、ということはないだろうか?セットされている「貸借対照表」は確認しているだろうか?

これは、経営者に問題がある、というより、やはり顧問税理士の罪である。顧問税理士は顧問先の経営者に「貸借対照用」を正しく解説しなければならないが、現実はどうだろう・・・。

とはいえ、他責にしていても仕方がないので、経営者自身が自発的に自社の「貸借対照表」を正しく理解しよう。

「貸借対照表」を見て頭に入れるべきポイントは「会社の換金価値」である。さて、いま廃業したら、どれだけのキャッシュが残るだろうか?

「貸借対照表」ってなんだ?

中小企業の貸借対照表は「何のためにあるか?」

税理士や公認会計士などの専門家にこの質問をすると、その多くは「会社の資産と負債が分かりますよ」と回答する。この回答に対して「だから、何なんだよ!?」と分かったような分からないような「モヤモヤ」を感じる経営者は少なくにはずだ。

そこで、少し視点を変えて・・・

「貸借対照表を見れば、いま廃業したらどれだけのキャッシュが残るか?が分かりますよ!」

だったら、少しは興味を持ってくれるのではないだろうか?

事業をストップし、会社を解散・清算する。経営者は、ありったけの資産を換金し、そのキャッシュで、すべての負債を支払、返済する。

さて、どれだけのキャッシュが残るか?である。

残れば良いが、ひょっとすれば「足りない」かもしれない。その確認を、最低でも年1回、決算の時に確認してみよう。

私の経験では、多くの経営者が「え!?そうなん!?知らなかった・・・」と驚く。

まずは「貸借対照表」のキホン

まずは「基本」を抑えておこう。仕組みはシンプルだ。

左記(上記)が「貸借対照表」の基本構造である。左側に「資産」右側に「負債」、その差額が「純資産」である。この「純資産」は「資本金と剰余金(=内部留保)」である。

もし「負債」の方が大きい場合は、いわゆる「債務超過」と呼ばれる状態であり、早急な改善が必要である。

貸借対照表は「鵜呑み」にしないこと!

「貸借対照表」は、そのまま「鵜呑み」にしてはならない。

なぜなら「貸借対照表」に計上されている資産の中には「現在の価値を表していないもの」が含まれるからだ。

(ここで、あなたの会社の「貸借対照表」を手元に準備してほしい)

例えば「前払費用」という資産が計上されていても、その資産価値(=換金価値)はほとんどの場合は無い、ゼロだ。「在庫(商品や仕掛品)」も計上されている金額で換金できるかは多くの場合怪しい。

このように「資産総額」といっても、その「換金価値」を表しているケースはごく稀である。だから「鵜呑み」にしてはならないのだ。

一つずつ「換金価値」を確認しよう

「資産」は、全ての科目について「換金価値はいくら?=いくらのキャッシュに変わるか?」を確認してみることが重要である。その合計が、額面上の資産合計を上回っているか?(=含み資産を持っている)それとも下回っているか?(=含み損を抱えている)だ。

一方で「負債」。「これですべてと思うな、負債合計!」である。

例えば、リース債務である。中小企業の場合、貸借対照表にリース残債が計上されていることは稀である。いわゆる「簿外負債」である。社員の退職金も計上されていない。退職金のルールがあるならこれも「簿外負債」だ。このように「貸借対照表」に計上されていない負債が他に無いかを確認しよう。

資産、負債について、これらの数字を確認したら、その差額である「純資産」がいくらになるか?を計算してみよう。それが、あなたの会社の「換金価値」である。(この記事では「時価」=「換金価値」として表している)。

簿価と時価(=換金価値)の比較例

(簿価)
資 産: 5000
負 債: 3000
純資産: 2000(40%)


資産の換金価値が1000だったら

(換金価値)
資 産: 1000
負 債: 3000
純資産:△2000

左記のような貸借対照表の場合、自己資本比率も40%と「優良企業」のように見える。

資産の5000を換金価値に置きなおした場合、仮に5000以上あれば「超優良」と言えるかもしれない。

しかし、反対に換金価値が1000しかない、となると、この会社は「実質債務超過」ということになる。

このように、表面的(簿価)には、優良であっても、換金価値に置き換えた途端「債務超過」という中小企業は少なくない。

まとめ~将来、後悔しないように!

普段、あまり気にしない貸借対照表には、会社の財務状態に関する重要な情報が掲載されている。

すべての資産を換金したときに、当初の資本金を大きく上回る場合、喜ばしいことであるが、実は「株価」が高額になっている場合があり、相続税の心配をしなければならない。

反対に、負債を完済できない場合は「借金を返すまで会社をやめられない状態」であり、オーナー経営者にとっては「人生計画」そのものが狂ってしまう場合もある。

会社の換金価値は多くても、少なくても、重要な経営課題である。これを確認せずに後悔をしているベテラン経営者を多く知っている。若い時から「会社の換金価値を確認する習慣」を身に付けてほしい。

お役に立ちますように!