「経営者の採用力」必要な人材を必要な時に採るチカラ

この記事のポイント

必要な人材を問題なく採用できているだろうか?

もし困っているならば「採用力」を見直す良い機会かもしれない。

「想い通り経営」に必要な「経営者の心技体」。ここでは「技」の中でも経営スキルの大切な一つ「経営者の採用力」について、その大切さと、改善のヒントを紹介しよう。

必要な人材を必要な時に採用するチカラ

「心技体」の「技」は、「基礎スキル」と「経営スキル」の2つに分けているが「経営スキル」は、経営者必修の大切な実務スキルだ。

心技体

その一つである「採用力」は「必要な人材を必要な時に採用するチカラ」と定義している。

この「採用力」が不足していると、説明するまでもなく「採用に困る」。

人材採用のために、様々な媒体を活用して、あの手この手を尽くすわけであるが、それは「本質」ではない。極端に言えば、オシャレな求人広告、キャッチーなコピー、カッコイイ採用サイトなど、優秀なデザイナーとコピーライターに任せれば簡単にできてしまう。残念ながら、それが「誇大広告」になったり、ひどい場合は「ウソ」であったりする事例はあなたも知っていると思う。

ここでは、そこに掲載する内容が「ウソ」や「ゴマカシ」にならないようにするための「視点」を紹介しよう。

必要な人材を必要な時に採用してる経営者の「採用力」、3つの大切な視点

この「採用力」が優れている経営者には大切な共通点がある。そのキーワードは「謙虚」「魅力」「組織最適」の3つだ。もし、この「採用力」に不安を感じるのであれば、是非、この3つの視点について自問自答してみよう。

謙虚な姿勢

一つ目のキーワードは「謙虚」である。「採用力」が優れている経営者は採用にあたって謙虚な人が多い。ちなみに、先に断っておくが「卑下」しているのではない。

人材の採用にあたって、なぜか「上から目線」になってる経営者を見かけることがある。「採用してあげる」という意識や考え方を持った経営者だ。「当社にご入社いただく」という謙虚さがないのだ。

このような経営者に出会うと私は「違和感」を感じる。なぜなら、お客様に「売ってあげる」というスタンスの商売人は特殊な例を除いて少数派である。一般的には「買っていただく」という姿勢であるはずだ。

お客様に対しては、

  • 当社・商品・サービスの魅力を伝え
  • 興味・期待を持ってもらい
  • 商談の結果、適正価格で取引する
  • 取引後は「満足」「感動」をいただく

というポジションである。

「採用」に照らして言い換えると

  • 当社の魅力=経営理念を伝え
  • 当社に興味と期待を持ってもらい
  • 見合った待遇を提示し
  • 面接にて、条件を詰め
  • 入社後は「いい会社に入った」と満足してもらう

となる。これは「営業活動」とそっくりである。

採用が思うように進まない会社を観察すると「売ってやる」=「採用してあげる」という意識や考え方が根深い原因になっていることが珍しくない。

「採用力」が優れている経営者は、共通して「謙虚な姿勢」で採用に当たっていることが多い。

人を惹きつける事業の魅力

次に「魅力」だ。どれだけ「謙虚な姿勢」で求人をしても、そもそも「魅力」がなければ、振り向いてくれる人は少数だ。営業も採用も同様である。魅力のない商品やサービスが売れないのと同じだ。

「採用力」が優れている経営者や会社には、優秀な人材と相思相愛になるための「魅力」がある。「この会社で働いてみたい」と思わせる「魅力」だ。この「魅力」が弱ければ、「待遇を良くするから、是非、当社に入ってください」とならざるを得ない。魅力のない商品やサービスを「ディスカウントするから買ってください」という販売と同じく「価格競争」に巻き込まれることになる。

当社にとって優秀な人材は、何に魅力を感じるのか?彼らの満足度を上げるために何が必要なのか?を明確に言語化しなければならない。

ある失敗事例を紹介しよう。あるIT会社が「オシャレなオフィス」に改装した。当時(行ったことはないが:苦)まるでシリコンバレーのベンチャー企業を連想させるようなカッコイイオフィスだ。ここの経営者は、このオフィスを求人広告で紹介し「こんなオフィスで働きませんか?」と求人した。狙いは的中し、多くの募集があり、必要人数を採用できた。ところが・・・。採用した人材は「オシャレなオフィス」に魅力を感じた人であり、事業や仕事内容に魅力を感じた人たちではなかった。1年ももたなかった。「必要な時に採用」は実現したが「必要な人材を採用」は実現できなかった。

「事業の魅力」が必要である、と強く感じさせてくれた事例である。オシャレなオフィスも、よい待遇も「魅力」の大事な要素であることは間違いない。しかし「事業の魅力」は、絶対に外してはならない一つなのだ。

個人最適<組織最適

「採用力」が優れている経営者の共通点のひとつが「組織最適」の視点だ。

会社経営において忘れてはならないのは「人を動かすのではなく組織を動かす」という重要な視点だ。人材の採用は「組織づくりの手段」であり「目的」ではない。

この視点が漏れると「個人最適」、つまりその個人を見て合否を判断してしまいがちだ。「採用力」が優秀な経営者は、チームにとってメリットがあるか?デメリットがないか?という「ものさし」を持っている。

「社会人として問題ないか?」は、当然として「組織人として問題ないか?」という視点である。既存メンバーと融合して相乗効果をもたらしてくれる人材か?既存のチームを乱すようなタイプではないか?もし、これらに不安があれば、どれだけ魅力的な知識や経験を持っていても採用してはならないのだ。

欲しい人材は「優秀な人材」だ。人材の採用にあたり意外と曖昧にされているのが「優秀な人材とは?」という定義。

「なんとなく、イメージは持っているのですが・・・」

「じゃ、説明してみて!」と質問すると「優秀って言えば優秀な人やん」と、なんとも開き直った回答が返ってくることも珍しくない。

まずは、この「優秀な人材」、私は、

  • 組織の一員として
  • 与えられた役割を果たすため
  • 自分の成長に対して
  • 素直に真面目に考え、
  • 行動する人材

と、定義しているが、重要なのは「一般的な優秀」ではなく「組織(当社)の一員として」がキーワードだ。

知識や経験が豊富であっても、協調性がなかったり、コミュニケーションに問題があれば「チーム力」が低下するリスクがある。当社の新人としてチームに溶け込み、結果として「チーム力を上げてくれる優秀な人材」を採用したいのだ。これが「組織最適」の考え方である。

経営者として「採用力」が優れていることの幸福

改めて、経営者として「採用力=必要な人材を必要な時に採用するチカラ」が優れていることの幸福を考えてみよう。つまり「経営者の採用力が優れている」とはどういう状態なのか?だ。

魅力的な経営理念に賛同・共感してくれる優秀な人材を
必要な時に採用することができており
チームは常に成長を持続している状態

本質は、このような自分の状態を「幸福」と感じる「心」を持っているか?である。このように「必要な人材を必要な時に採る」ということが「理想論」であり「建前論」と感じてしまうならば残念ながら「想い通り経営」は実現できない。

「経営者の採用力」は、「想い通り経営」に不可欠な「技」としてとても大切なチカラの一つだ。

あなたは何点?

1点:理解レベル
このチカラについて「理解」はできるが「納得・賛同」はできない。

2点:納得・賛同レベル
このチカラが必要なことは「納得・賛同」できる。しかし、身につけるには自信がなく、それによる不都合は受け入れるしかない。

3点:行動レベル
このチカラ不足によると思われる経営上の不都合が起きているので、このチカラを身につけようと目下「トレーニング中」である。

4点:習慣レベル
このチカラ不足が原因の経営上の不都合は起きていないので、この考え方、行動は習慣化しており合格レベルだと思う。

5点:指導者レベル
このチカラは当社の管理者や幹部クラスにも必要なので、自らが模範となって指導している。

「採用力」をトレーニングする方法

さて、ここまで読んで「心が痛い」と感じた人、つまり「自分には採用力が不足しているな」という自覚症状があれば早速トレーニングを始めよう。

ますは「魅力的な理念作り」であるが、ここに課題を感じるなら、別稿「経営者の理念力:魅力的な使命と幸福を伝えるチカラ」を参照して欲しい。

その上で、トレーニングすべきは、チーム力を上げるために「必要な人材の言語化」である。ありがちなのは「***に強い人材」という表現だ。これでは「言語化」したことにならない。「強い」とは、どんな場面で、どんなレベルなのか?を具体的に表現することを繰り返し習慣化することが大切である。

(たとえ話として適切かどうか不安であるが)草野球のメンバーを募る場合で想像してみよう。

  • 野球経験のある人を募集します。
  • 打撃が得意な人を募集します。
  • アベレージで2割5分以上打てる人を募集します。
  • 得点圏打率3割以上を任せられる人を募集します。

下の表現ほど具体的であることを分かってもらえると思う。「採用力」を高めるためには、魅力的な理念と同様「必要とする優秀な人材の定義」を明確にすることが大切である。そして、これを「採用の時に考える」のではなく「常、日頃から考える」ことが大切である。この定義は、既存メンバーの「あるべき姿」にも通じるので、人事評価にも必要であり、効果的であるからである。

これを継続すれば、必ず「採用力」は高まる。「考え方」と「行動」を変えて「結果」を変えよう!

【参考】習慣化のステップ
  • 理解レベル:理解できる。
  • 納得レベル:納得でき、賛同もできる。
  • 行動レベル:高めなければならない=MUST)と思い行動を続ける
  • 習慣レベル:MUSTからWANT(=高めたい)に変化する

まとめ

以上、経営者の採用力「必要な人材を必要な時に採用するチカラ」を紹介した。大切な視点は「謙虚」「魅力」「組織最適」だ。「想い通り経営」を実現するための「経営者の心技体」のなかの大切な1つである。経営者の「考え方」が変われば、「行動」が変わり、望ましい「結果」に変わる。是非、参考にしてみてほしい。

お役に立ちますように!

【このブログについて】「若手経営者のための経営支援ブログ」