社員には「給与は会社が払ってるのではない」と伝えよう

中小企業が「業績連動型」の給与や賞与の制度を運用するときに、気を付けたい考え方がある。

「給与は会社が払ってるのではない」

当社がサポートしている「業績連動型」のコンセプトは「みんなで稼いで、みんなで分ける」である。よって「給与は誰から支払わてるのか?」について、このコンセプトと整合性を保たないといけないからだ。

さて、どういうことか?詳しく紹介しよう。

会社は、分配する立場

「給与は会社が払ってるのではない」なら、会社は何をしているのか?

会社は「分配機能」だ。

「業績連動型給与賞与制度」は、文字通り「業績」に連動させて、給与や賞与の金額を決めて社員たちに支給する仕組みであるが、この「業績」は、みんなで得た成果である。簡単に言えば「みんなで得た成果を、みんなで分配する制度」だ。

会社の役割は、お客様から頂いた収益金から必要なコストを差し引いた利益の一部を、給与や賞与として、公平に、公正に、社員に分配することだ。

つまり、給与や賞与は、会社ではなくお客様から頂いているのだ。

給与支給日に「給与明細」を手渡すと、社員は「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言ってくれると思うが、この「ありがとう」は、給与を「もらった感謝」ではなく「分配の手間に対する感謝」となる。

したがって「感謝」は「お客様」に向けられるべき、という考え方でないと「業績連動型」と整合しない。

「売上」から「コスト」を引いた「利益」は「いったん会社が預かったもの」であり、この「預かり利益」を「業績連動型」のルールに従って「社員」と「会社」に分配する、という考え方である。

ちなみに「社員」に分配し「会社」に残った「利益」は、その後「経営者」と「社会(税金)」と「会社(内部留保)」に再分配されることになる。

お客様に感謝する社風を作る

社員たちにとって「お客様に感謝しよう!」と言ってもピンとこない人たちは少なくない。しかし、この「業績連動型」の運用とともに「君の給与は会社が支払っているのではないよ。お客様から預かったお金を分配しているだけだ。だから、お客様に感謝しよう。」と伝えると多くの社員たちは理解を示してくれる。

良い仕事、役に立つ仕事を一生懸命したら、お客様は喜んで代金を支払ってくださる。反対に、不平不満を持ったまま支払ってもらう代金は心苦しい。もちろん、お金に色はついてないが、「喜んで支払ってもらった代金」と「しぶしぶ支払ってもらった代金」、どちらが良いか?は言うまでもない。自分や家族の生活の糧となる給与や賞与の原資だ。「喜んでもらったお金」を持って帰ろう、という考え方を伝えることで「社風」はよくなる。

そんな「お客様に感謝する社風を作る」ためにも3Gマネジメントが大切なのだ。

3Gマネジメント:社員・取引先・経営者の3つのグループの幸福のためのマネジメント

給与は取ったり、貰ったりするものではない

決して深い意味はないと思うが、一般的な言葉遣いとして「給料をもらう」「給料を取る」という言い方がある。昭和の時代は「高給取り」なんて言い方もあった。

しかし、私は「業績連動型」の仕組みを開発する過程で、徐々に違和感を感じ始めた。

考えすぎかもしれないが「給料」、つまり「お金」を「取る」とか「もらう」という表現は馴染まない、という違和感だ。それ以来、つまり「業績連動型」を運用するようになってから「給料を分ける」という言い方に変えた。

これも前述の「会社が支払ってるのではない」という考え方と整合させた結果でもある。

かつては「今年もたくさんの賞与をもらって感謝してます」と律儀に礼を言いに来てくれる社員がいたが、そんなとき、私は、必ず次のように返答していた。

君に賞与をあげたつもりはないよ。
お客様から預かった売上代金の一部を分配しただけだ。
だから、賞与がたくさんと思うなら、
そんなたくさんの賞与をもらえるように
多くの代金を支払ってくださった
お客様に感謝しような

キレイなお金で家族と生活したい、という原体験

最後に、少し「私事」に付き合って欲しい。私が、この考え方に至った原体験の話である。

独立前、私が税理士として駆け出しのころ、担当先から「脱税」の相談があった。まだ20歳代で世間知らずの私は、その良し悪しの判断もつかず、結果としてその脱税を見逃した。顧客満足度が上がり、顧問料を値上げしてくれた。

「かたい!」と言われればそこまでであるが「脱税したお金」で値上げしてもらって、回りまわって、その「汚れたお金」を給与として分けてもらってる、と感じた。

当時、私の一人娘はまだ1~2歳の赤ちゃん。私の給与でスクスク育っている。生まれて間もない子供や家族の生活費を「汚れたお金の分配」で賄うことに違和感を通り越して嫌悪感まで感じた。一日も早く独立して「キレイなお金で家族と生活したい」と強く思い、28歳でさっさと独立することになった。

友人や知り合いにこの話をすると「堀井はカタイ!硬すぎる!」と言われるが、そんな原体験が上記の考え方のベースにあることは否定しない。

まとめ:御馳走さまもヘン!

以上、あなたの会社の社員さんたちに伝えてほしい「給与は会社が払ってるのではない」という考え方を紹介した。

最後に、もうひとつの考え方も紹介しておこう。

打ち上げなどで、社内で飲食するときの場面だ。その宴がお開きになり、解散するときに「社長!ご馳走さまでした!」と、これまた丁寧にお礼を言ってくれる社員がいる。

その時も、同じように「みんなで稼いだお金で飲食したから、僕に(社長に)ご馳走さまはヘンだ」と返す。そして「その証拠に領収書をもらった。もし、僕が領収書をもらわなかったら、そんときはボクのオゴリだから、そんな軽い礼では許さんよ!(笑)」と付け加える。

お役に立っただろうか・・・。

堀井弘三
堀井弘三

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