【部門別会計】共通経費や本部経費を各部門に配賦する4つの方法

中小企業が管理会計を部門別で行うときに、「共通経費」や「本部経費」の部門配賦方法についての検討を行うが、注意しなければならないのは、そもそも「なぜ部門別会計を行うのか?」という「目的」である。

部門別会計の目的に応じたもっとも適切な配賦方法は何か?この記事では「固定額方式」「人頭税方式」「税金方式」に加えて「実額配賦方式」の4つについて詳しく解説しよう。

共通経費を各部門に配賦する4つの方法

まず、3つの方法について、その概要を整理しよう。

全社合計A部門B部門C部門共通
売上高4,5001,0001,5002,0000
変動原価2,7006009001,2000
限界利益1,8004006008000
部門コスト1,400200300400500
部門利益
配賦前
400200300400△500
共通経費配賦0????????????
部門利益
配賦後
400????????????

A:固定額方式

もっともシンプル、文字通り「固定額」を各部門に配賦する方法だ。

固定なので、各部門の売上高や利益は影響しない。各部門ごとに「A部門は、月額100、B部門は、月額200・・・」という具合に、各部門ごとに「固定額」を決定し、月々配賦する。

実務的に最も手間がかからない。

金額決定の方法は、それぞれの事情や意図によって様々である。

  • 売上予算に応じて
  • 部門の人数に応じて
  • 使用面積に応じて

という具合だ。

これを「共通部門」から見ると、各部門からは固定の「上納金」が計上されるので、実際発生する共通経費とは合致しない。共通経費が「上納金」の範囲内で収まれば「黒字」になるし「上納金」を超える共通経費が発生したならば「赤字」になる。これによって、総務や経理などの共通部門も事実上「予算」が与えられた格好になり「上納金の範囲内で抑えるように」というプレッシャーにもなる。

B:人頭税方式

これは「月額一人当たり10万円」というような方法である。部門のメンバーが10名であれば@100万円、という具合だ。

上記の「固定額方式」と異なるのは「月々で変わることがある」という点である。メンバーが増えれば、その月から増額され、また、逆も同様である。

また「固定額方式」と同様、実際に発生した共通コストとは差額が発生し、共通部門も「黒字」になったり「赤字」になったりする。

C:税金方式

これは「月々の利益に応じて賦課する」という方法だ。中小企業の場合、実務的には「限界利益」を基準にすることが多い。いわば「担税力」に応じて負担させる、という方法であり「月々の限界利益の5%を賦課する」というような決め方になる。

ちなみに、同じ人数、同じ面積など部門運営規模は同じだとしても「稼ぎ」に応じて負担が変わるので、これを「不公平」と考える人もいる。

さて、「限界利益」を基準にする場合、月々の「たな卸し」が必要になるが、それが煩雑で実務的な負担が大きい場合は「標準限界利益率」などを用いて計算することもある。

また「限界利益」ではなく「売上高」や「部門利益」を基準にすることもあるが、その選択は業種などその会社の諸事情によることになる。

なお、この方法も、実際の共通経費と差額が発生する。

D:実額配賦方式

以上、3つの方法は実際の共通経費と差額が発生するので、共通部門も「黒字」「赤字」になることがある。それに対し「実額配賦方式」は、共通経費の実額を売上比や人数比などを基準にして配賦するので、差額は発生せず共通部門の利益は常にゼロになる。

部門別会計の目的に応じた選択

冒頭に書いたように共通経費をどのように各部門に配賦するか?については、部門別会計の目的に応じて検討することになる。

目的が「部門長評価」である場合

部門別会計の目的が「部門長評価」に連動している場合は「D:実額配賦方式」を避ける。その理由は「共通経費の増減の影響を受けるから」である。

たとえば、総務部門で想定以上のコストが発生した場合に、実額配賦であると各部門の配賦額もそれに応じて増えて「評価が下がる」という結果になるからだ。

自部門の評価が他部門の影響を受ける「実額配賦」は、部門長の不平不満につながることがあるので他の方法を採用することが多い。

また、会計にそれほど明るくない部門長にとっては「固定額方式」か「人頭税方式」が、自部門の損益分岐点などの数字が頭に入りやすい、という理由でも採用されるケースが多い。

目的が「正しい採算把握」である場合

部門別会計の目的が、各部門の「正しい採算把握」なのであれば「D:実額配賦方式」も選択肢になるが、それでも中小企業では「固定額方式」を採用することが多い。

いわば「家賃」的な発想である。一般的に「家賃」は、入居者の収益に関係なく固定しているが、それと共通経費も同じという考え方だ。

まとめ:併用方式もある

以上、部門別会計において「共通経費」や「本部経費」を各部門に配賦する4つの方法を紹介したが、そもそも「管理会計」の分野なので決まった方法はない。各企業が経営者の意図や希望で自由に設計すればよい。

実務的には、今回紹介した方法を組み合わせて採用することもある。たとえば、固定額に人数割りした人頭税を加算する、という具合だ。

貴社の部門別会計を設計する際の参考になれば幸いだ。

お役に立ちますように!

堀井弘三
堀井弘三

中小企業の「部門別会計」の設計をサポートをして30数年になります。最高250部門の設計と運用を手掛けたことも(笑)。

一般企業に限らず「付加価値を高めたい」と考えている若手税理士にもノウハウを公開しているので「同業」なんて気にせずお気軽に!