「経営者の社会力」イイ人たちに囲まれる求心力の素

「経営者の社会力」について整理してみよう。

「社会力」というのは、書きながら少々違和感はあるが、要は「社会性」のことである。

今から書こうとしているのは、経営者の・・・

  • 「社会の一員として自覚のこと」
  • 「社会の役に立ちたいという志のこと」
  • 「社会に迷惑をかけないという当たり前のこと」

つまり社会人としての心がけのことだ。(いまさら?という声が聞こえるw)まるで「新入社員の研修テーマ」みたいな話で、初老の説教みたいな話になるが、若手経営者のあなたには、必ず知っておいて欲しい大切なことなのでガマンして付き合って欲しい。損はさせないから。

経営の目的はなんだろう?

あなたは、なぜ起業・創業したのだろうか?
あるいは、アトツギであれば、なぜ事業承継を承諾したのだろうか?

規模に関わらず、経営者は会社のトップであり、リーダーである。

あなたの「経営の目的」はなんだろうか?

  • 稼ぎたい
  • 自由が欲しい
  • 名声が欲しい
  • 好きなことをしたい
  • 誰にも命令されたくない

などなど、様々な理由や事情があると思う。

ちなみに、ボクは「自由」が欲しくて税理士資格を取り、1990年、29歳になる年の春にロクな実務経験も積まずにワンルームマンションで「堀井弘三税理士事務所」を開業した。もう30年以上前の話・・・若かった(笑)。これから書くようなことは「これっぽっち」も頭になかった(・・・だから苦労した?)。

そんなボクも還暦を迎え、こんな偉そうなことを若い人に向かって書くようになった。

あなたのモチベーションが上がるのであれば、起業・創業・承継の理由や動機はなんでも構わない。でも、ひとつだけ忘れてほしくないこと、常に頭の片隅に置いておいて欲しいこと・・・そもそも「経営の目的」はなんだ?

ボクの答えは「社会に迷惑をかけることなく、誰かの役に立つこと」であり、これはすでにボクの信念にもなっている。

自然人としての経営者だけでなく、その経営者が経営する法人としての会社も社会の一員であり、その一員として社会の役割分担として、別に大それたことでなくてもいい、小さくても構わない、誰かの役に立っていれば大成功である。ただ、それには条件があって「誰にも迷惑をかけずに」である。経営者も会社も、社会の共同生活者だ。

多くの利益が出て、手元の資金も潤沢になって、外から見れば順調に成長している会社であっても、その裏や陰で犠牲者が泣いているようでは、その経営は「成功」ではない。ボクに言わせれば「大失敗」だ。

会社で日々起きることは、ずべて経営者に原因や理由がある

「誰にも迷惑をかけずに、誰かの役に立って、十分な利益を得る」・・・言うは易く行うは難し・・・建前論やキレイごとに聞こえても仕方がないと思う。実際の会社経営は、様々な不都合との闘いの日々だ。

  • 思うように売り上げが上がらない
  • ライバル会社との差はどんどん開いていく
  • 優秀な人材が採用できない
  • せっかく採用したのに辞めていく
  • 社員は言うことを聞いてくれない
  • 社員のチョンボでクレーム対応
  • あげくの果て、給料や賞与に不満たらたら
  • 銀行はなかなか融資をしてくれない
  • 預金残高は寂しい限りで金策に走る
  • そんな戦いの隙間で感じる孤独感
  • 家に帰れば家族も冷たい・・・

いくつかに心当たりはあるだろうか?
ひとつも該当なし、ということであれば、あなたは極めて順調に会社のかじ取りをしていて、もはや、続きを読んでもらう必要もない少数派のひとりだ。

でも、ひとつでも心当たりがあれば、ここであなたの「社会力」についてじっくり考えてほしい。

なぜなら、会社で日々起きることは、ずべて経営者であるあなたに原因や理由があるからだ。なかでも「経営者の社会力不足」の影響は大きい。

「社会の役に立つ」ための3Gの視点

「社会」というと、大きく漠然としたイメージになるので、ここでは、もう少し身近な存在で考えてみよう。

  • 誰の役に立つのか?
  • 誰に迷惑をかけてはならないのか?

ボクは3つのグループで考えることを勧めている。

このブログで何度も繰り返し登場する「3Gベスト」のことである。

(参考:3つのグループが「幸福になるように」経営する

  • グループ1:得意先や仕入先、外注先などの取引先
  • グループ2:社員と、その家族や大切な人たち
  • グループ3:経営者自身と、その家族や大切な人たち

この3つのグループの人たちは「あなたの会社のおかげで毎日が幸せだよ!」という状態かどうか?である。

会社経営の本質的な目的

もし・・・

  • 得意先に、品質不良や納期遅れで迷惑をかけている
  • 仕入先や外注先にムリを押し付けている
  • 社員たちに不必要な負担をかけている
  • あなたの家族や大切な人たちを犠牲にしている

など、あなたの経営が原因で、3Gを含む周りの人たちに「不」を与えていないだろうか?不平・不満・不満足・不信・不足・不備・・・などの「不」だ。

「役に立つ」「迷惑をかけない」とは、この「不」を最小限にすることだ。「不」は、課題の表れだ。そこに経営課題があるから「不」が生じてしまう。

「社会力の差」は「課題認識の差」

「課題」とは「あるべき姿」と「現実」のギャップだ。

よって「経営課題」とは、「会社のあるべき姿」と「現在の会社の状態」のギャップ、ということになる。

(参考:「経営者の課題解決力」課題発見と解決への執念のチカラ

「あるべき姿」が大きく、高いところにあれば「課題」は大きくなる。

反対に「あるべき姿」を低く見積もると、ギャップである「課題」は小さくなり、時にはなくなってしまう。

「あなたの課題は何ですか?」という質問に対し、デキの悪い人ほど「特にありません」と返ってくる。志の高い人に同じ質問をすると「課題山積みです!」と返ってくる。

例えば、社員の残業や休日出勤が続いているとする。

  • 「そんなの、忙しいから当然だ」という経営者に「課題」はない。
  • 「残業や休日出勤をしなくてもいい会社にしなければ!」という経営者にとっては「こんな残業や休日出勤が常態化している状態は異常」であり、この課題解決に焦りを感じている。

この差は何か?

「社会力」だ。

ときどき「残業や休日出勤はデキの悪い社員が悪いのであって自業自得!経営に問題はない!」なんて経営者に出会うことがあるが、会社の状態は「案の定」である。残業や休日出勤が続いているという現状に「役に立つどころか、迷惑をかけている」と感じるかどうか?の「差」である。

「残業や休日出勤をしなくても十分家族を養える、いや、それ以上に豊かな生活ができる会社にして、社員やその家族、大切な人たちの役に立ちたい」という「想い」の「差」である。

この「差」が「会社の成長の差」になることは容易に分かると思う。

「残業や休日出勤は当たり前」と思う人が経営する会社は、なにも改善が進まない。

反対に「課題」と認識している人が経営する会社は
・業務プロセスやシフトを改善しよう!
・人数を増やそう!
・そのために商品やサービスの付加価値を改善しよう!
・販売量を増やして人件費アップに備えよう!
・そのために販売方法を改善しよう!
などTO-DOリストはどんどん増えていく。前述したように「課題は山積みです!」という状態になる。

つまり「社会力の差」は「課題認識の差」となってこの差が「会社の差」になって現れる。

だから「会社でおきる現象のすべては経営者に理由や原因がある」というロジックになるのだ。

馬耳東風・馬の耳に念仏・無自覚・・・悪気の無い罪

言いたいことはタイトルの通りである。

もっとも罪深いのは「社会力不足」を自覚できない経営者達だ。

仕入先や外注先にムリを強要したり、社員たちも過重労働で疲弊しているなど、大きな犠牲によって、売上は右肩上がり、決算書はピカピカの優良企業、というようなケース。

このタイプの経営者に「社会力」の話をしても

「堀井さん、何をキレイごと言ってるの?」
「そんなキレイごとや建前で会社経営できれば誰も苦労しませんよ!」
「仕入先や外注先にムリを聞いてもらってるのは交渉力の差!」
「社員たちには、十分な待遇をしているから大丈夫!」
「ウチは極めて順調に成長してますよ!」

犠牲の上に成り立っていることに気付いていない経営者。

ボクは、このタイプに会うたびに「残念やなあ」「もったいないなあ」と思う。お叱りを受けるかもしれないが「反則勝ち」してる経営者だ。「反則しても勝てない経営者」ならいざ知らず「反則勝ちできる人」って、実は「正攻法」でもそこそこできる人が多い。だから「もったいないな」と思う。

この手の会社は、中長期的に、ほとんどリバウンドダメージを受けることになるから、特にそう思ってしまう。
(ちなみに、タイガージェットシンもブッチャーも実は実力派だったというw・・・若い人は知らないか・・・)

まとめ

「経営者の社会力」について、まとめてみた。

「役に立ちたい」「迷惑をかけたくない」という考え方を持っている経営者は、優秀な人たちや、善良な人たちからの「人望」が厚く、また「支持率」も高い。つまり、喜んで協力しよう!応援しよう!という人たちに囲まれているのだ。だから、組織力も高くなり、それが課題解決力となって、どんどん成長していく。

つまり、経営者の社会力とは「優秀な人たちや、善良な人たちに囲まれる求心力の素となるチカラ」だ。もちろん、この人たちの中に「優良顧客」が含まれることは言うまでもない。

若い経営者の人たちに伝えたい「社会力」。お役に立てば幸いである。

【このブログについて】「若手経営者のための経営支援ブログ」