経営者の「心技体」と「年齢」

このブログでは「想い通り経営」を実現するための経営者の「心技体」を様々な切り口で紹介しているが、ここでは「年齢」を切り口に考えてみよう。

年齢とともに低下する「体」のレベルをカバーするために「心」と「技」のレベルを上げていこうという話だ。

「心技体」の前に「成長」の定義

経営者の「心技体」、これは税理士として30年以上にわたって数百人の中小企業経営者と仕事をしてきて辿り着いた私なりの法則であるが、この「心技体」の前に「成長」の定義について確認しておこう。

私は「成長」とは「役立つ存在としてさらに進化すること」定義付けしている。

この「成長の定義」に当てはめると、極端な話、「顧客を騙してどんどん売上や利益を拡大して大きくなっている企業」は、役に立つどころか、迷惑な存在なので私にとっては「成長企業」ではない。

社員に辛い目をさせて、その犠牲の上に拡大している企業も、社員やその家族の幸福のために役立っていないので、これは「成長」ではなく「膨張」だ。

想い通り経営」とは、「自社に関連する人々の幸福のため、経営者の想い通りの会社経営が持続している状態」のことを言うが、そのために経営者と会社の「成長」が欠かせない。

つまり、関連する人々の幸福のために経営者が進化し、会社が進化することが「経営者の成長」「会社の成長」なのである。そして、そのために欠かせないのが「心技体」なのだ。

(心)×(技)×(体)

心技体は、この一つでも「ゼロ」になると全部が「ゼロ」になってしまう、という意味で「×(かける)」で結ばれている。

スポーツで「フィジカルもスキルも充分な選手なのに、メンタルが弱く、本番やピンチで力を発揮できず敗者となってしまう」というシーンをよく見かける。

あるいは「根性は立派なのだが、スキルやフィジカルがイマイチでなかなか勝てない」というシーンも同様だ。

この心×技×体、成果を得るためには、それぞれの要素において一定以上のレベルが必要であり、加えて、そのバランスを常にベストにキープすることが重要である、ということはスポーツに限らず経営にも当てはまる。

心技体のそれぞれは・・・

と定義している。

心技体のバランス

この「心技体」を若い経営者と高齢経営者の比較で観察してみる。

若い経営者の「心技体」

まだ、会社経営の経験が浅く「技」が発展途上である若い経営者。同様に「心」もまだまだであり、それはある意味、仕方がない。「心」と「技」のレベルがまだ低い年代だ。当然であるが、それが「若さ」だ。しかし、若いので「体」は申し分なくフレッシュであり「技」が足りない分、体力勝負ができる年代だ。

ベテラン経営者の「心技体」

一方で、ベテラン経営者は、そのような「体力勝負」が徐々にできなくなっている。しかし、長年の経験による「立派な心」や「高度な技」を持っており、むしろ若い経営者より「総合点」は高いことが期待される。

「心技体」の総合点をキープする

この二人の経営者の「心技体」を比較すると、各要素のレベルは違っていても総合点でバランスを取ることが大切であることが分かる。

多くの人は、年齢を重ねるごとに「体」は下がってくるので、それをカバーする必要がある。つまり「体」のレベル低下を「心」と「技」のレベルを高めることで総合点をキープすることが大切なのだ。

例えば・・・

30歳:心2点×技3点×体5点=総合点30点

50歳:心4点×技4点×体3点=総合点48点

という具体だ。もし、この20年の間に「心」「技」が成長しなければ・・・

50歳:心2点×技3点×体3点=総合点18点

まで低下してしまう。

経営者の上手な年齢の重ね方=体の衰えを心と技でカバーする

人は平等に毎年ひとつずつ年齢を重ねていく。以上から「想い通り経営」の実現を目指す経営者が心掛けるべき「年齢の重ね方」がお分かりいただけると思う。

「体」のレベルが低下しないように、ベストコンディションのキープを心掛けるとともに低下分以上の「心」と「技」の向上を目指す、ということである。

数字で例示してみよう。

それぞれ「5点満点」とすると・・・

  • 30歳:心×技×体=2×2×5=20点
  • 40歳:心×技×体=3×3×4=36点
  • 50歳:心×技×体=4×4×3=48点
  • 60歳:心×技×体=5×5×2=50点

というように「体」の低下以上の「心」と「技」が成長すると、総合点は成長し続ける。しかし、この「法則」に反して「心」と「技」の成長を怠けると・・・

  • 30歳:心×技×体=2×2×5=20点
  • 40歳:心×技×体=2×2×4=16点
  • 50歳:心×技×体=2×2×3=12点
  • 60歳:心×技×体=2×2×2=8点

と、見るも無残な結果となる。

経営者は、経営責任を果たすためにも上手に年齢を重ねたいものだ。

単なる「衰え」だけではない「体」のリスク

とても残念なことではあるが、「心」と「技」とは違って「体」は、突発的に劣化することがある。事故や病気だ。若くしていきなり「体」のレベルが低下することがある。上記の計算例に当てはめるとよくわかると思うが、そのとき「リーダーとしての総合点」がガクンと落ちる。

ここで「経営者の管理力」の発揮しどころだ。まだまだ自分は若いので「心」や「技」が低くても大丈夫(なんて思わないと思うが)、ということでは経営責任力が低いと言わざるを得ない。「体」のレベルはいつ下がるか分からないので、若くても「心」と「技」は、できるだけ早く上げる努力をすること。それが「経営責任者」としてのあるべき姿である。

(参考)「経営者の管理力」全てが想定通りという先読みのチカラ

まとめ

私がこの「心技体」と「年齢」の関係に気付いたのは、経営者の年齢と共に順調に成長している企業と、そうでない企業を比較したときだ。

40歳を超えたころから「空回り」している経営者と接したときに「若い時と同じ働き方をしているのでは?」と仮説を立てながら検証してみた。すると「心」や「技」が伸びていないので意思決定の無駄やミスが多く、それを「体」でカバーしきれず、悪循環している経営者が少なくなかったのだ。他の経営者も共通しているだろうか?と観察していると同様だった。

これは経営者に限ったことではなく「ヒト」に共通していることではあるが、心技体を自己内観してバランスを確認する時間を定期的に持ってほしい。特に「心」。若い時には響かなかった倫理や哲学、あるいは先人の「名言」などが参考になったりするようになる。是非、試してみてほしい。

お役に立てますように!