【基礎スキル(その1)】課題発見のチカラ

【課題】=(あるべき姿)ー(現状)

「基礎スキル」の一つ目は「課題発見のチカラ」です。

これは「なんかおかしいなあ~」と感じたり、気付くチカラです。

これは「発見のチカラ」であって「解決のチカラ」ではありません。課題を解決するためには経験やノウハウが必要になるので「実務スキル」に分類されます。「基礎スキル」は、年齢や経験、職種やポジションに関係のなく全員に必要なスキルなので「何かおかしい」と気付くだけで十分です。

とはいえ「課題発見」は、奥が深いスキルなので「基礎スキル」のなかでも1番最初にランクしています。

方程式は引き算です。「あるべき姿」は「望む姿」とか「ゴール」と言い換えても構いません。

ダイエットに例えましょう。

私は、現在68キロです。先日、ドクターに「堀井さん、もう少し体重落としましょう、64キロくらいまで」と、アドバイスをもらいました。つまり「あるべき姿」は「64キロ」です。現在は「68キロ」。これを当てはめると、答えは「マイナス4キロ」。これが私の課題です。簡単な方程式です。

ただし、数字で表現すると誰に誤解されることもなく「課題は4キロ」と伝わりますが、様々なテーマがすべて数字で表現できるとは限りません。

例えば、部屋の掃除についての課題は?というと、それぞれ違った意見を持つことになります。

「え?充分キレイやん!」

「いやいや、隅っこには埃がたまってるよ!」

「ドアノブ、手垢でばい菌だらけだ!」

などなど・・・それぞれの「きれい好きレベル」によって「もうこれ以上掃除はいらない」と思う人や「もっと念入り
にさっそく掃除しましょう!」と言う人まで、それぞれ「あるべき姿」のレベルが違います。

つまり「課題」というのは「あるべき姿(望む姿、ゴール)」を仲間同志で、はっきりすり合わせしておかないと、最悪の場合、ケンカにまで発展することが少なくありません。

世間では「意見の相違」と言ったり「価値観の相違」とか言って、別れる理由にまでなっています。それが一緒に仕事をする仲間同志で起きれば最悪ですよね。一緒に楽しく、仲良く仕事したいのに、真逆の状態になってしまう・・・そんなことが
起きない様に、チーム全員で、この「課題発見の方程式」を頭に入れておくことが大切なんです。

無用なコミュニケーションエラーが起きない様に、つまり、気持ちよく仕事をするためにも大変重要な基礎スキルです。

上記は「あるべき姿のギャップ」を図にしたものです。AさんとBさんのエラーです。

現状は「3」と共通認識できていも、Aさんは「5」であるべき思い、Bさんは「8」であるべきと思っています。この2人の「あるべき姿」に差があるので、エラーが起きてしまいます。Aさんは「5で解決した」と思い、Bさんは「5」では解決してない、「8」が必要、と思います。

Bさん「この部屋、掃除しておいてね!」

Aさん「了解!」

(1時間後)

Bさん「掃除は終わった?」

Aさん「終わったよ!」

Bさん「できてない・・・中途半端やん!」

Aさん「何を言ってるの?キレイになったやん!」

ってエラーです。このようなエラーを起こさないためには

  1. 常に課題意識を持つ習慣
  2. 常にあるべき姿を「言語化」し仲間と共有する習慣
  3. 常に現状を正しく認識する習慣

をお互いが持っておく必要があります。

1つめの「常に課題意識を持つ習慣」は「考え方の習慣」です。

常に「何かおかしいところはないかな?」と考えることは、職種や年齢、経験に関係なく、全員が基礎スキルとして持っておく必要がある「考え方の習慣」です。

この習慣が無い人は「気付かない人」「鈍感な人」です。あるいは「現状を受け入れてしまう人」「満足しなくてもいい人」
「良くすることを諦めている人」です。それでは結果は変わらず、幸福度は上がりません。

まずは「なんかおかしいな?」「なんかおかしいところはないかな?」「これでいいのかな?」と常に考えることが大切です。

2つめは「常にあるべき姿を言語化し仲間と共有する習慣」です。

例えば「美味しいもの食べたいな~」「じゃあ、明日、美味しいお店に連れて行ってあげる!」「やった~」
と、あるカップルが「美味しい店」に行きました。さて、そこで・・・「どう?美味しいでしょ?」「ん・・・ん~
まあまあ」この2人に気まずい空気が流れます。なぜか?それは、お互いの「美味しい」が違うからです。片方は
「濃い味」が好きなのに「薄い味」のお店に連れて行ってしまった、というようなケースです。

「望む結果」「望む姿」をお互いが言語化し共有していなかったので起きる悲劇です。最初から「おいしいお蕎麦屋さんに、行こうか?」「いや、もっとコッテリ焼肉の気分なんだけどな」「じゃあ、焼肉行こう!」と話しを合わせておけば、この悲劇は無かったかもしれません。

このように「あるべき姿」「望む姿」を、チーム全員で、言葉にして、誤解が生じないように共有することで「課題を共通認識」することになり、エラーを少なくすることができるのです。なので、絶対、職場で使ってはならないNGワードは「なるはやで!」「ちゃんと!」「いいかんじで!」などです。いわゆる「感覚ワード」。「明日の18時までに!」と言えば誤解がないのに「なるはやで!」と言うからエラーが起きるのです。

さて、3つ目は「常に現状を正しく認識する習慣」です。

目の前で起きていることをよく観察してみることです。見過ごすと、この方程式が成り立たず、課題を発見することができません。敵は「慣れ」です。物事に慣れてしまって当然となり、それが普通になり、見えなくなる・・・。「現状に満足しない」という意識が大切です。