【基礎スキル(その3)】管理のチカラ

【管理】=(リスク想定)×(事前準備)

「基礎スキル」の3つめは「管理のチカラ」です。

さて「管理」って何か説明できますか?よく使う言葉であるにも関わらず、いざ「管理ってなに?」と聞かれると殆どの人が答えられません。分かっているのだけど、言葉で説明しにくい言葉です。

方程式を見てください。管理とは「リスク想定」「事前準備」の掛け算になっています。「管理」とは「万が一のときのリスクを想定して」「そのリスクを最小限にするために事前に行動する」という意味です。

1つ目の「リスク想定」は「万が一の時に何が起きるか?そして、その時にどれだけの被害があるか?」ということを言語化することです。

例えば、みなさんが友達からもらった大好きなシュークリームをお家の冷蔵庫入れておきました。あなたは、シュークリームがとにかく大好きで、夕食後のデザートとして楽しみにしているとします。しかし、その冷蔵庫を開けたお父さんが「お!美味しそうなシュークリーム!」と、誰に聞くこともなく、能天気に食べてしまいました。さてそれをみつけたあなたは、どんな気持ちになるでしょうか?・・・リスクが現実になりました。夕食のデザートとして楽しみに取っておいた大好きなシュークリームが姿を消したのです。

ここで、大切なのは「消えたことがリスク」なのではありません。消えることによって心の底から悲しくなるという「被害がリスク」です。というのは、甘いものが苦手で、そのシュークリームも特に楽しみにしていない人にしてみれば、お父さんが食べてしまっても「あ、お父さんが食べたんやね、ま、いいけど」という反応でしかありません。

つまり、シュークリームが無くなることはリスクではなく、無くなることで悲しくなることが、想定されるリスクです。つまり「現象」ではなく「被害」を想定しなければならないのです。

「リスク想定」というのは「何が起きるか?」ではなく「どれだけの被害があるか?」を想定することなので注意してください。

さて、2つ目は、この「悲しくなる被害を最小限に抑えるために何をするか?」です。最初に思いつくのは「食べないで!」と張り紙をしておくことですね。その他にも「冷蔵庫に鍵をかける」「お父さんを家に入れない(?)」とか、様々あると思います。これは、そもそも「無くならない様に」という対策ですね。その他には「お父さんに取られることは避けられない」とすれば同じシュークリームをお父さんの分も別に用意しておく。あるいは、そのシュークリーム以上に美味しいスイーツを用意しておく、などあるかもしれません。もっと言えば、シュークリームくらいで悲しくならない自分になる!」という根本的な事前対策もあります。

さて、いかがですか?

チームのみんなで「万が一のとき何が起きるか?その被害は?」を、具体的に言葉にして、共通認識することはとても大切です。仲間同志で「管理のチカラ」を共有することで「万が一」への備えは、かなりレベルアップします。

ちなみに、会社でエライさんのことを「管理職」といいますよね。ここにも「管理」という言葉を使っています。もう、おわかりですよね?「管理職」の大きな仕事の1つは「部下や後輩が何をしでかすかわからない」ではなく「部下や後輩がやらかすことで、どれだけ被害があるか?」を想定し、事前対処をするポジションです。

万が一の時に、あの人たちは「管理不行き届きでした」と頭を下げるのですが、私は、その場面を見ると「想定が甘かったの?」それとも「想定はしていたけど、事前対処をしてなかったの?」と、私は心の中で方程式に分解して観察しています。

参考までに「課題発見のチカラ」と「管理のチカラ」を合わせて見ておきましょう。
課題発見のチカラは「あるべき姿」と「現状」の引き算ですが、この2つを関連付けると「現状では、どんなリスクが想定されるのか?」「事前対処としてのあるべき姿は?」となります。

また、2つ目の「計画達成のチカラ」との関連も確認しておきましょう。

計画達成は「正しい計画」と「正しい行動」の掛け算ですが、どれだけ正しい行動をしていても、その障害となることが起きることがあります。

例えば、計画通りに行動しようと思っていたのに、インフルエンザにかかってしまい、動けない・・・となれば、計画達成が危なくなりますよね?まさに、これが「行動のリスク想定」です。じゃあ、その事前対策は?というと、計画に2~3日の余裕を持たせよう、と「事前準備」をするわけです。これが、合わせ技の「計画管理」という意味になります。